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手術後の傷の痛み(術後疼痛)NEW
Q:手術後(術後)の傷の痛み(疼痛)はなぜ起こるのですか?どのような症状がありますか?
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手術という身体へのダメージによって、皮膚や筋肉、神経が直接的に傷つき、局所的な「急性炎症」が引き起こされるためです。
手術後の痛みには、痛みの発生メカニズムによって主に以下の種類があり、症状の感じ方も異なります。
侵害受容性疼痛
傷口の炎症による痛みです。「ズキズキとした痛み」「創部が突っ張るような感覚」「重苦しい」といった症状が特徴です。
神経障害性疼痛
手術で細かい神経(末梢神経)が傷つくことで生じます。「電撃が走るようなビリビリ、ピリピリとした鋭い痛み」「チクチクする」「カッカとする灼熱感」などの症状があります。また、服が軽く触れるだけでも激痛を感じる「アロディニア(異痛症)」を伴うこともあります。
Q:手術後の痛み(術後疼痛)のピークはいつですか?縫ったところ(手術跡)や傷の痛みはいつまで(どれくらい)続きますか?
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じっとしている時の痛み(安静時痛)のピークは、通常、手術直後から術後1〜5日程度とされており、傷の修復とともに急速に和らいでいきます。しかし、寝返りや深呼吸など体を動かしたときに痛む「体動時痛」は、その後も数日間から数週間にわたって続くことが一般的です。
通常は数週間から数ヶ月で治まりますが、痛みが長引き、おおむね3カ月以上痛みが続く場合は「慢性術後痛(CPSP)」と呼ばれる状態に移行している可能性があります。患者さんによっては、半年、1年、あるいは数年後になっても痛みが治まらずにお悩みの方がいらっしゃいます。
Q:虫垂炎や帝王切開などの開腹手術後、傷跡が赤く盛り上がったり、熱をもったりして痛む原因は何ですか?
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患者さんからは「1年以上前の開腹手術の傷跡が赤く盛り上がり、痒みや痛みが続いて熱をもっている」「生理前になると帝王切開の傷跡がズキズキ痛む」「虫垂炎の手術跡が徐々に痛くなってきた」といった切実なお声が寄せられます。
これらの症状や、押すと痛い場合は、傷口が治る過程で生じた微小な炎症反応が慢性的にダラダラと長引いてしまっているサインの可能性が高いと考えられます。
Q:人工膝関節の手術後、レントゲンでは「異常なし」と言われたのに痛みが続くのはなぜですか?
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「人工関節がきれいに入っているのに痛い」というのは不思議に思われるかもしれませんが、実は決して珍しいことではありません。イギリスの調査では、人工膝関節を入れた方の約4割に「何らかの痛みがある」と報告されており、膝は股関節や肩に比べて痛みが残りやすい部位です。
レントゲンが正常なのに痛む場合、主に以下の4つの原因(メカニズム)が考えられます。
1. 滑膜に生じる「モヤモヤ血管」 関節を包む滑膜に強い炎症が続き、異常なモヤモヤ血管と神経が増えてしまう状態です。骨ではないためレントゲンには映りません。
2. インプラントと骨のわずかなゆるみ 歩くたびに生じる微細なズレが痛みの原因になります。
3. 手術で生じる神経の損傷 手術時にやむを得ず切断した神経(伏在神経など)が過敏になり、ビリビリとした痛みが残ることがあります。
4. 過剰な炎症反応(CRPS) 手術の技術に関わらず、体が過剰な反応を起こし、熱を持った腫れが1〜2年も続いてしまうことがあります。
人工関節置換術後の痛みについてはこちらのページに詳しく記載しましたのでご覧ください。
Q:乳がんや骨折、開胸手術の古傷が、数年後も「チクチク」「ズキズキ」と痛むのはなぜですか?
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とくに乳がんの手術後は「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」、肺がんなどの開胸手術後は「開胸術後疼痛症候群(PTPS)」と呼ばれ、わきの下や胸などに数年単位でチクチク、ピリピリとした痛みが残ることがあります。
骨やインプラントには異常がないのに痛みが続くこの「治らない痛み」の背景には、傷口の回復段階で生じる慢性的な炎症と、それに伴って異常に増えてしまった不要な血管(モヤモヤ血管)が深く関与していることがわかってきました。
Q:痛みの原因となる「モヤモヤ血管(異常新生血管)」とは何ですか?なぜ慢性的な痛みを引き起こすのですか?
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モヤモヤ血管とは、痛みの原因部位や慢性的な炎症が続いている場所にできてしまう「異常な毛細血管」のことです。
実は人間の身体には「血管と神経が一緒になって伸びる」という基本ルールがあります。手術時のダメージや引きつれ(癒着)によるストレスでモヤモヤ血管が増殖してしまうと、その周囲に痛みを感知する「過敏な神経」も一緒に異常増殖してしまいます。
増えすぎた神経は、わずかな体温や天候の変化、衣服の軽い摩擦による刺激さえも「激しい痛み」として過剰に受け止めて脳へ伝えてしまうため、しつこい慢性痛の悪循環が完成するのです。
Q:私の手術後の傷の痛みは「モヤモヤ血管」が原因でしょうか?見分けるためのセルフチェック方法はありますか?
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以下の項目のうち「2つ以上」当てはまる場合、手術跡の周辺に痛みの原因となるモヤモヤ血管が非常に高い確率で発生していると考えられます
ピンポイントの圧痛
自分の指で手術跡やその周辺を軽く押すと、「ここを押すと飛び上がるほど痛い」という特定の場所やしこりがある。
じっとしている時の疼き
身体を動かしていなくても、傷跡の奥が「ズキズキ」「ジンジン」「重だるい」と疼くような痛みが持続している。
朝や動き出しの痛み
朝起きた時や立ち上がろうとした時などに、手術跡の周辺に「ピキッ」と引きつるような強い痛みが走る。
就寝時の痛み
寝返りを打とうとした際や、寝ている姿勢によって手術跡が圧迫されて痛みで目が覚めてしまう。
環境・気候の影響
冬の寒い日や冷房で体が冷えた時、または雨の日などの低気圧の時に、手術跡が特に疼くように痛む(お風呂で温めると和らぐ)。
Q:術後疼痛を和らげる方法(疼痛コントロール・緩和方法)はありますか?飲み薬が効かない治りにくい痛みはどうすればいいですか?
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手術直後〜数日の急性期には、複数の痛み止めや、患者さん自身で痛みを管理するPCポンプ、神経ブロック注射などを組み合わせる「多角的(マルチモード)鎮痛法」で痛みをコントロールするのが標準的です。
しかし、痛みが数ヶ月以上長引いて慢性化し、一度モヤモヤ血管と神経ができてしまうと、一般的な痛み止め(飲み薬)や湿布では到底太刀打ちできないことが多くあります。
このような長引く痛みに対しては、異常な血管(モヤモヤ血管)や過剰な炎症反応を対象に治療する「運動器カテーテル治療」が知られています。
点滴に使うごく細の柔らかいチューブからお薬を注入し、痛みの原因である異常血管をピンポイントに退治するメスを使わない日帰りの治療です。数年間ずっと痛くて、着替えも困難だった傷痕の腫れや痛みが、この治療によって劇的に改善したというご報告があります。
長引く痛みのカテーテル治療をご検討の方は下記の症例をご参照ください。
著者プロフィール
奥野祐次 M.D., Ph.D.(医師・医学博士)
オクノクリニック 総院長
専門分野:慢性疼痛、モヤモヤ血管に対する血管内治療、カテーテル治療・動注治療、画像診断(MRI・エコーを活用した精密な痛みの診断)
2006年3月、慶應義塾大学 医学部 卒業。2008年より放射線科医として血管内治療に従事し、2012年3月、同大学大学院医学研究科博士課程を修了(研究テーマ:「病的血管新生」)。同年4月より江戸川病院にて運動器疾患に対する血管内治療を専門に担当。2014年には同院「運動器カテーテルセンター」センター長に就任。2017年10月、神奈川県・センター南にて「オクノクリニック」を開院。
現在東京を中心に全国10院を運営するオクノクリニックの総院長。運動器カテーテル治療の専門医として、長年にわたり痛みに悩む患者の治療に取り組んでいる。

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