治療実例

INSTANCE

乳がんの手術をしてから4年間ずっと痛かった傷痕(きずあと)の痛み

女性 / 50代 / 東京都在住 /

受診までの経過SIGN AND SYMPTOM

今回紹介したいのは、58歳女性の患者さんです。
4年前(54歳の時)に右側の乳腺にガンを発症し、右乳房部分切除術を受けられています。同時に脇の下のリンパ節も切除しました。手術の直後からキズのある脇の下にぼやっとした違和感と強い痛みが発生しています。脇の下は腫れていて、痛くて触れない状態が1年間続きます。リンパ浮腫と言われたものの、痛くてリンパマッサージも受けられない状態でした。
術後1年が経過すると少しはましになりましたが、それでも脇の下の腫れがあり、痛みでTシャツのような服を着れない、脇を閉じることができない(二の腕をまっすぐ下におろす姿勢が取れない)などの症状が続き、チクチク、ズキズキという痛みで寝ていても起きてしまう、つらい状態でした。
飲み薬を飲んだり、リンパマッサージの施術所など複数個所通ったりしましたが、改善しませんでした。

主治医からは乳房切除後疼痛症候群と呼ばれる状態と説明を受けたものの、仕方がないからあきらめるしかないと言われていたそうです。

そんな中で、治療家の先生の紹介でカテーテル治療のことを知って、私たちのところにいらっしゃいました。2013年でした。

治療時の所見FINDINGS

初診で拝見したときにも、10段階で「9」の痛みがじっとしていてもあるとのことで、非常に強い痛みがありました。また、脇の下は見た目にも腫れてやや硬くなっており、手術からずっと炎症が続いている状態と判断し、炎症を持続させている異常な血管を標的としたカテーテル治療をプランすることにしました。

カテーテル治療では右の手首にちかい前腕から点滴のような形で細くて柔らかいチューブを入れ、右側の脇の下の血管(腋窩動脈)まで進めます。肩甲回旋動脈という脇の下に分布する動脈から血管撮影をすると、異常な血管が増えていることがわかりました。(下の写真)カテーテルから抗生物質でできた異常血管をふさぐ薬剤を入れて治療を終えています。

治療後の経過FOLLOWING THERAPY

治療の翌日から「明らかに腫れが引いた」と実感されています(この方に限らず、カテーテル治療を受けられた方で「帰宅したら~年間の腫れが引いて驚いた!」などといったお声を頂くことは良くあります)。また直後から痛みも軽減していました。痛くて着ることができなかったTシャツはすぐに着れるようになり、また二の腕も脇につけても痛くない状態になり、手をまっすぐ下におろせるようになった、異物が入っている感覚がなくなったとおしゃっていました。「9」であった痛みのスコアは治療後1か月の再診では「1-2」に軽減していました。その後も毎月フォローしましたが、2回目の受診で痛みは「1」になり、腫脹も減って喜んでおられました。

治療から6年が経過した現在は、傷痕を触ると多少の違和感があるものの、ほとんど気にならない状態が続いている、腫れはおさまったままと教えて下さいました。手術というダメージがきっかけで、長い間モヤモヤ血管が脇の下の傷痕に居座っていましたが、カテーテル治療をきっかけに減少し、どうしていいかわからない、といったお悩みから解放されています。

今回は乳がんの術後に生じた傷跡の長引く痛みの症例を紹介させていただきました。





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