モヤモヤ血管とは、痛みの原因部位にできてしまう「異常な血管」のことです。
人間の身体には生命を維持するのに欠かせない「正常な血管」だけではなく、病気の原因になってしまうような「異常な血管」もできてしまうことが最近になってわかってきました。
特に五十肩や腰痛、ひざの痛みや肩こりをはじめとした、治りにくい関節の痛みには、そのような異常な血管(いびつな構造でモヤモヤとして見えるため、モヤモヤ血管と呼んでいます)が存在することが様々な研究で確かめられています。
※詳しくは、学術・論文ページもご覧ください。
https://okuno-y-clinic.com/academic
では
なぜ「モヤモヤ血管」が痛みを発生してしまうのでしょうか?
実は人間の身体は「血管と神経が一緒になって伸びる」という基本ルールがあります。つまり血管が増えているところには、神経も一緒になって増えていて、この余計に増えた神経から痛みの信号が脳に送られることがわかってきました。
しかも、モヤモヤ血管と神経は一度できてしまうとなかなか簡単には減りません。ですから痛み止めや湿布などでは到底太刀打ちできないのです。
特に40歳を過ぎたころからモヤモヤ血管ができやすいことがわかっています。また若い方でもスポーツや仕事で繰り返し負担がかかっている部位には、このモヤモヤ血管ができやすいです。
■モヤモヤ血管を減らす注射
モヤモヤ血管を治療する方法の一つが、モヤモヤ血管を標的とした注射治療です。この注射は一般的に整形外科やペインクリニックで行われている「ヒアルロン酸注射」や「ブロック注射」とは大きく異なります。
何が違うのかと言いますと、ひとつは注射を打つ部位(ターゲット)です。また注射の内容(含有成分)も異なります。
オクノクリニックで提供している注射は、痛みの原因となるモヤモヤ血管ができている場所にピンポイントに打ちます。これは従来のレントゲンなどを基にした診療とは異なる発想で、モヤモヤ血管の専門家だからこそできる治療です。 しかもモヤモヤ血管(異常な血管)を減らす作用のある薬剤を用います。
このため、他の一般的な注射と異なり、高い除痛効果を得られます。また8割以上の患者さんにおいて効果が一時的ではなく治癒に向かっていきます。
すでに年間5,000人近くの方がこの注射を受けており、重大な副作用が出ていませんから、安全な治療として提供することが可能です。
モヤモヤ血管を減らす注射をまだ受けたことがない人は、ぜひお試しください。
【対象疾患】
五十肩、膝の痛み
【副作用(リスク)】
内出血・疼痛・アレルギー反応
■モヤモヤ血管への運動器カテーテル治療
オクノクリニックの提供する治療の中で最も特徴的なのが運動器カテーテル治療です。運動器カテーテル治療とは、カテーテルというきわめて細いチューブを血管の中に進めて患部に近づき、血管の中からモヤモヤ血管を撃退する方法です。
英語ではTranscatheter Arterial Micro Embolizationと呼び、頭文字をとって「TAME」とも呼ばれます。
ちょうど点滴をするときと同じように短いチューブを静脈の中に挿入し薬液を滴下します。カテーテルはこの点滴のチューブをそのまま長くしたもので、このチューブを手首や足の付け根から血管の中に挿入し、目的の治療部位まで到達させます。
カテーテルは太さ0.6㎜でチューブ自体が柔らかいため(実際に来院して触っていただくとわかりますが)、安全に治療することが可能です。
カテーテルで痛みの出ている現場まで到達すると、モヤモヤ血管が見えてきますから、そうしたらそこに薬剤を注入します。
また、より詳細に知りたい方は、下記のリンクからメディアで紹介された動画もご覧になれますので、参考になさってください。
【副作用(リスク)】
カテーテルを挿入した部位の内出血(約4%)
造影剤による蕁麻疹などのアレルギー反応(約2%)
治療部位の一時的な痛みの増加(約5%)
■カテーテル治療で使用する薬剤について
カテーテル治療で用いる薬剤は①抗生物質、②医療用ゼラチン製剤、の2種類があります。①の抗生物質は「イミペネム・シラスタチン」という薬剤で、20年以上前から「抗生物質」として認可が下りているものです。
運動器カテーテルは血管を減らすことが目的なのに、どうして細菌を退治する抗生物質を使うのでしょうか?
実はこの薬は非常に「溶けにくい」ことで有名です。溶けにくいために、少量の液体と混ぜると、溶けずに小さな「粒子」になります。
この粒子をカテーテルで注入すると、細かい血管のところで「詰まり」ます。つまり、異常な血管がたくさんあるところでこの薬を流すと、異常な血管のところに集まってくれるのです。これにより、異常な血管は血液の流れが悪くなり、ダメージを受けることになります。
では、正常な血管にはどう作用するのでしょうか?正常な血管にもダメージを与えてしまい、「壊死」や「損傷」などの怖いことが起きてしまわないのでしょうか?
結論としては、全くその心配はありません。
今までに8,000人以上の患者さんが「イミペネム・シラスタチン」の粒子による運動器カテーテル治療を受けていますが、「壊死」や「損傷」といったことが生じたことは1例もありません。
なぜでしょうか。
病気で新しくできた異常な血管は「血管としての経験」が浅く、トラブルに対応する能力が低いといえます。一方で、正常な血管は生まれた時から存在しており、すこし流れが滞っても、再び血液が流れるようになる(再開通させる)仕組みがあるのです。
このため正常な血管では再開通して血液の流れが保たれるのに対し、異常な血管にはきちんとダメージを与えることができる、非常に安全性が高い優れた薬剤なのです。
②の「医療用ゼラチン製剤」とは、最近あたらしく開発された製剤です。
この製剤も、イミペネムと同様に、時間とともに溶解する製剤なので、イミペネムと同様に安全に使うことができます。
すでに500名以上の方がこの製剤を使って治療を受けていて、肘や膝ではイミペネムよりも高い効果が得られています。
この2種類の製剤のどちらかを、状況に合わせてベストなものを使用させていただきます。