慢性痛治療の専門医による痛みと身体のQ&A

間質性膀胱炎

Q:頻尿と下腹部の痛みで病院に行ったら、間質性膀胱炎と言われました。どんな病気ですか?

「下腹部に違和感やいつも痛みがあるが、尿はきれいだと言われる」
「おしっこが溜まると痛みが出て、排尿すると痛みが和らぐ」
「おしっこが近い。少ししか出ない」
このような症状が出るのが間質性膀胱炎です。

間質性膀胱炎は、膀胱の壁に炎症が長期にわたって生じてしまい、慢性的に痛みが生じるとともに頻回に尿意を催す病気です。また膀胱が繊維化(硬くなってしまう)して萎縮します。英語では Interstitial Cystitisとも呼ばれます。

膀胱に異常な新生血管ができてしまうことが、間質性膀胱炎の大きな特徴です。ハンナ病変という、新生血管の集まりを膀胱鏡で確認することで確定診断します。ハンナ病変がなく、膀胱を膨らませた時に点状出血が生じる場合は、膀胱痛症候群(Bladder pain syndrome)と呼ばれます。

治療としては食事療法や薬物療法、水圧拡張術や膀胱内注入療法などの治療法がありますが、従来の治療では十分に満足な結果が得られないことも多いとされています。最近になって異常な新生血管を標的にした血管内治療という新しい治療法も開発されています。詳しくはこのページの後半もお読みください。

Q:間質性膀胱炎の症状はどういうものがありますか?

膀胱痛が慢性的に続きます。尿が膀胱にたまると痛みが出てきて、排尿すると改善することが特徴です。尿の貯留で痛みが出るため、痛みを避けるために頻繁に尿意を感じるようになります。また夜間にも尿のために起きることがあります。

また尿意切迫感といって、尿意を強く感じたり、尿を我慢すると「つらくなる・耐えられない感覚がある」というのも特徴です。また、食事内容や環境によって症状が変化することも、間質性膀胱炎の特徴です。

ご自身がそのような疑いがあると感じている方は、ぜひ専門医の診療も検討してみてください。

Q:間質性膀胱炎になってしまいました。間質性膀胱炎の原因は何ですか?

間質性膀胱炎では新生血管が集まって増えていることが確認されており、その所見をもって間質性膀胱炎と診断します。普通であれば膀胱の壁には血管が目立たないのですが、間質性膀胱炎では異常に血管が増えてしまいます。この異常な血管の集まりをハンナ病変と呼んでいます。また、明らかなハンナ病変がなく、膀胱を水で拡張した際に、膀胱の壁から不自然な出血が見られる場合、Bladder Pain Syndrome と呼ばれます。この場合もやはり膀胱の壁に異常な血管新生が起きてしまうことが確認されています。

これらの異常な血管新生がなぜできるかについては、いまだに解明されていません。仮説としては、膀胱表面の炎症や、神経原性炎症と言われる神経の過敏な状態、アレルギー、自己免疫疾患、微生物感染などが挙げられていますが確定されていません。

最近になって異常な新生血管を標的にした血管内治療という新しい治療法も開発されています。詳しくはこちらの記事「間質性膀胱炎への血管内カテーテル治療とは?」も参考にしてください。

Q:間質性膀胱炎はどうやって診断しますか?

膀胱鏡でハンナ病変(異常な毛細血管が集まった粘膜の発赤部位のことです)を確認することで診断します。その際に膀胱にある程度の量の水を入れることで拡張させ、出血があるかなどを観察して診断します。

Q:間質性膀胱炎に効く漢方薬はありますか?

間質性膀胱炎の診療では竜胆瀉肝湯(ツムラ78番)や猪苓湯合四物湯(ツムラ112番)が処方されることがあります。対症療法として効果の発揮しうるものもあるかもしれませんが、どの人にも効くという万能なものはないというのが現状です。

Q:間質性膀胱炎に効果的な食事療法はありますか?

間質性膀胱炎には厳格な食事管理が症状のコントロールに有効だと報告されています(※1)。ぜひ取り組みましょう。

最も避けるべき食品は
・アルコール
・人口甘味料(清涼飲料水などに含まれます)
・防腐剤、添加物、人口調味料(ラベルを確認しましょう)
・コーヒー、紅茶(デカフェも好ましくありません)
・かんきつ類(オレンジ、ミカン、すだち、かぼすなど)
・クランベリージュース(いわゆる膀胱炎には効きますが、間質性膀胱炎は悪化させます)
・唐辛子、香辛料
・炭酸水

上記は避けたほうが望ましいと考えてください。

また、下記にまとめる注意すべき食品リストは多岐にわたりますが、個人差が大きいです。自分にとって合うか合わないかを、摂取してみて自分で判断することが重要です。

飲み物の場合、摂取後2~3 時間後に症状が現れることが多いです。食べ物は消化されて腎臓から尿として排泄されるまでに6 時間以上かかります。

以下に多くの人にとってOKなものと、多くの人にとってNGなものを分野ごとにリストします。

①果物
【多くの人がOK】
リンゴ、ブルーベリー、スイカ、ココナッツ

【多くの人がNG】
クランベリー、かんきつ類、ブドウ、グアバ、キゥュイフルーツ、ドライフルーツ(保存剤入り)

②穀物
【多くの人がOK】
パン、米、そば、パスタ、小麦粉

【多くの人がNG】
防腐剤入りのパン、甘味料入りのシリアル

③タンパク質
【多くの人がOK】
卵、鳥肉、豚、牛、ラム肉、魚、エビ、カニ

【多くの人がNG】
燻製肉、ソーセージ、スモークサーモン

④調味料
【多くの人がOK】
アーモンド、バジル、コリアンダー、ガーリック、ローズマリー

【多くの人がNG】
化学調味料、防腐剤、ナンプラー、しょうゆ、みそ、ウスターソース、唐辛子、わさび、生姜、マスタード、カレーパウダー

⑤飲み物
【多くの人がOK】
水、ミルク、アーモンドミルク、ブルーベリージュース、カモミールティー、ペパーミントティー

【多くの人がNG】
アルコール、炭酸飲料、クランベリージュース、オレンジジュース、トマトジュース、レモネード、豆乳、スポーツ飲料、ビタミンドリンク、エネルギードリンク

⑥お菓子
【多くの人がOK】
手作りクッキー、手作りケーキ、バニラアイス、はちみつ、生クリーム

【多くの人がNG】
市販のケーキやクッキー、ポテトチップス、チョコレート、ココア、コーヒー味のアイス、柑橘系のシャーベット

⑦野菜
【多くの人がOK】
アスパラガス、アボカド、レンズ豆、ブロッコリー、カリフラワー、トウモロコシ、なす、きゅうり、オクラ、ホウレンソウ、きのこ、ズッキーニ、赤ピーマン、じゃがいも、かぼちゃ、カブ、オリーブ

【多くの人がNG】
たまねぎ、ピクルス、トマト、枝豆

食べたものは記録しましょう。少しずつでもいいので、あなたにとって大丈夫なもののリストを増やしていきましょう。

Q:クランベリーは間質性膀胱炎に効果がありますか?

クランベリーやクランベリージュースは一般的に「膀胱炎」に効果があるとされていますが、間質性膀胱炎では反対に悪化させてしまうことが多いです。摂取しないように注意しましょう。

Q:間質性膀胱炎に有効な内服薬や市販薬は、どんなものがありますか?

医療機関でもらえる飲み薬としては、尿のアルカリ化のための(酸性化すると刺激が強くなるため)ウラリシッドという薬や、鎮痛剤としてロキソニンやボルタレン、トラマールなどがあります。また、抗アレルギー薬としてアイピーディという薬剤も用いられます。また、一部の抗うつ薬や抗ヒスタミン薬も用いられます。

市販薬では、漢方薬などの生薬由来のものが手に入ります。竜胆瀉肝湯や腎仙散などが間質性膀胱炎の症状を和らげるのに有効とされています。

Q:間質性膀胱炎で水圧拡張術を受けることになりました。どんな手術ですか?

全身麻酔もしくは下半身麻酔で行ないます。膀胱や前立腺の手術のときに使われる内視鏡を尿道から挿入し、膀胱を観察した後に、水を3分間ほど注入して膀胱を膨らませて広げる方法です。あまりに長時間拡張すると膀胱が損傷する恐れがあるため、短い時間で終わることが必要です。術後1日か2日は尿道カテーテルを留置し、その後に抜去して退院となります。費用は5日間の入院とすると、入院費を含め3割負担で窓口支払いは8万円ほどかかります。

水圧拡張術では除痛効果が期待できますが、効果は一時的であることがほとんどで症状はぶり返してしまうことが通常です。一般的には効果の持続期間は約6か月~1年間とされています。

Q:間質性膀胱炎になり4年が経ちます。膀胱拡張術を数回受け、内服治療をしていますが、なかなか治りません。完治しますか?

間質性膀胱炎に対する従来の治療は、対症療法がほとんどです。水圧拡張術は根本治療のようですが、高い確率で症状がぶり返し、何度も行うことができません(繰り返すことで膀胱が繊維化し、尿の貯留ができないなどの不具合がでるため)。

最近になって、そのような不具合なく治療できる方法として、異常な新生血管を減らす血管内治療があります。ご興味のある方は、こちらの記事「間質性膀胱炎への血管内カテーテル治療とは?」も参考にしてください。

Q:間質性膀胱炎です。水圧拡張術以外にはどんな手術がありますか?

水圧拡張術以外の手術としては、ハンナ病変を電気メスで焼く焼灼術や膀胱全摘出術があります。

焼灼術は水圧拡張術と同じように膀胱鏡を使って行います。一時的に痛みが劇的に改善します。40%の人は3年後にも症状が改善したままだと報告されています。しかし、焼灼術は回数を繰り返すと線維化が強く起きてしまい、膀胱の伸張性が失われてしまうため、頻繁に施行することはできません。

膀胱全摘出術は膀胱を摘出してしまうという最終的な手段です。しかし摘出した後にも、以前膀胱があった部位に痛みを感じるというPhantom painという症状も知られているため、摘出してもなお痛いという人もいらっしゃいます。侵襲が大きいため慎重に考えたほうが良いです。

後述するように新生血管を標的とした新たな治療法もあるため、そちらも検討することをお勧めします。

Q:膀胱壁に直接薬剤を注射する方法があると聞きました。ジムソという新薬だと聞いています。どんな治療法ですか?

膀胱内注入療法という治療は、膀胱内に薬剤を直接注入し、炎症を抑える効果を期待する治療法です。この治療に用いる薬剤は大きく分けると3種類あります。

1.ジメチルスルホキシド(商品名:ジムソ膀胱内注入液50%)
2.ムコ多糖類
3.A型ボツリヌス毒素

このうちジメチルスルホキシド、商品名ジムソ(DMSO)は今年の1月に保険収載され、膀胱壁内注入療法が保険診療で受けられるようになりました。2週間の間隔をあけて6回膀胱内に注入します。

またジムソDMSOの副作用として、膀胱痛(30.6%)、尿道痛、膀胱刺激症状(各10%以上)、膀胱不快感、頻尿、呼吸臭・皮膚臭異常(ニンニク様の臭い)(各5~10%未満)、排尿困難(5%未満)などが報告されています。

より詳しく知りたい方は、専門の医療機関を受診してください。

Q:ハンナ型の間質性膀胱炎は指定難病とされていると聞きます。指定難病とはどういうことでしょうか?

ハンナ型の間質性膀胱炎は平成27年1月から厚労省の指定難病となっています。指定難病とは、指定医によって診断された場合、患者さんが医療費(調剤医療費を含む)の補助を受ける事が出来る制度です。登録には難病指定医による臨床調査個人票の記載が必要です。

詳細はお住まいの地域の保健所などにご相談ください。

Q:間質性膀胱炎の症状がなかなか治りません。水圧拡張術なども受けましたが、効果が持続しません。手術以外の方法で、何か新しい治療法はありますか?

異常な新生血管を減らすための、「血管内治療」という全く新しい治療法があります。

間質性膀胱炎では、膀胱壁に生じた異常な新生血管ができていますが、血管ができるとその周りに神経も一緒に増えてしまうため、膀胱が過敏になったり痛みが出たりしてしまうことがわかっています。

異常な血管を消滅させる治療として、カテーテルを用いた血管内治療が開発され、すでに関節の痛みなどに応用されています。

カテーテルと言っても、尿道カテーテルのような太いものではなく、直径0.6㎜の非常に細いカテーテルを血管内に挿入して治療する方法です。血管の中に入れて進めていき、膀胱の近くまで到達して、異常な血管を減少させる治療で非常に注目されています。

ご興味のある方は、こちらの記事「間質性膀胱炎への血管内カテーテル治療とは?」も参考にしてください。

Q:間質性膀胱炎が原因で他の病気も誘発される可能性はありますか。

間質性膀胱炎が原因となりほかの病気が誘発されてしまうことはあまり知られていません。
しかし、別の病気が同時に併発しやすい傾向が知られています。

例えば、間質性膀胱炎の方は、過敏性腸症候群や、線維筋痛症も併発しやすいという報告があります。

詳しくは、専門の医療機関でご相談ください。

Q:間質性膀胱炎です。ストレスを感じると症状が悪化します。ストレスの緩和に効果的な方法はありますか。

不安やストレスの軽減には、周りの人とコミュニケーションをとること、鉄分やたんぱく質などの栄養素を取ること、痛みなどの不快感を受け入れる練習をすることなどが効果的です。また仕事内容や家事の負担を見直すことも重要です。

女性の方は鉄分やたんぱく質の欠乏によりストレスが増大していることが大変多いです。通常の採血では「貧血」とは診断されなくても、実際は鉄が不足している、ということは多く見かけます。またたんぱく質も不足するとストレスを増大させます。それらを補うことでストレスが軽減され、症状が緩和される方も多いです。

また、痛みや不快な感覚は、なくなってほしいと願えば願うほど、不快な感覚の存在が増すことが知られています。痛みや不快な感覚をなくそうとするのではなく、受け入れることでその強さが弱まることが知られており、そのような心理療法をACT(アクト)プログラムと呼んでいます。私たちのクリニックでも提供しています。

ご興味のある方は専門の医療機関の受診も検討してください。

Q:間質性膀胱炎の痛みを和らげるセルフケア方法はありますか。

間質性膀胱炎の痛みをやわらげるために、以下の2つの方法を紹介します。
1.膀胱訓練
2.朝の散歩

1.膀胱訓練
通常より少し多めの飲水をすることで尿量を増やし、少しでも我慢して膀胱を広げてからトイレに行くのが膀胱訓練です。痛みを引き起こしにくいように、できるだけ尿が薄くなるように水分をとり、尿をためて、膀胱を広げてからトイレに行くようにします。ただし、自分で尿量を増やすことがあまりにもつらいという場合は無理をしないでください。

2.朝の散歩
朝の散歩ですが、これはセロトニンという物質が脳から多くでるようになるため、お勧めです。セロトニンの働きの一つに、痛みの信号を弱めてくれる働きがあります。朝の比較的早い時間帯に、晴れている日だけでよいですから、15分から20分くらいを目安に散歩してください。長すぎないようにしてください。気持ちよく日を浴びることでセロトニンの分泌が高まります。

<参照>
(※1)0h-Oka H:Clinical Efficacy of 1-Year Intensive Systematic Dietary Manipulation as Complementary and Alternative Medicine Therapies on Female Patients With Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome. Urology 106:50-54,2017.

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