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モヤモヤ血管コラム
Q:治りにくい痛みの原因、「モヤモヤ血管」とは?
モヤモヤ血管とは、不自然に増殖した異常な血管のことです。こちらの写真をご覧ください。
↑これは手にできたモヤモヤ血管の写真です。
黒くべったりとしているところが、異常な血管、通称「もやもや血管」です。この人の場合は手首や人差し指にモヤモヤ血管ができていて、しかもそこが痛い場所でもあります。
「どうして血管が痛みの原因になるの?」と読者の方は疑問に思うかもしれませんね。
実は人間の身体の基本ルールの一つとして、「血管と神経は一緒に増える」というものがあります。つまり、血管が増えているときは、一緒になって神経線維も増えています。
五十肩や腰痛、ひざの痛みなどは半年とか1年、あるいはそれ以上長く続くことが知られていますよね?このような「長引く痛み」の病気はいくつかあり、当然これまでにも「なぜ痛いのか?」という疑問を解決するために様々な調査や研究がなされてきました。
特に痛みの発生している場所(五十肩であれば肩の関節の袋、膝痛であれば患者さんが痛みを訴えている部位)を顕微鏡で観察した報告はたくさんあるのですがそれらの報告の共通点は何かというと、「細かな血管と神経が一緒になって増えている」という報告がなされています。
つまり「もやもや血管」のような異常に増えた血管とともに神経が一緒になって増えることで痛みの原因となることが示されているのです。
さらに「もやもや血管」は正常では見られない余分な血管ですから、このような血管を減らすことで痛みが改善することもわかってきました。
つまり「もやもや血管」とは、痛みを治すための新しいターゲットと言えます。
詳しく知りたい人、あるいは自分の痛みにも当てはまるのかな?という人は、ぜひ専門の医療機関を受診してみてください。
Q:自分でできる長引く痛みへの対処法、「15秒指圧」とは?
治りにくい痛みの原因として「もやもや血管」を紹介しました。ではこの「もやもや血管」を自分でも減らすことができたら、痛みの改善につながりそうですよね。
自分でできる方法の一つとして紹介したいのが、15秒指圧と呼んでいる方法です。
実は異常な血管である「もやもや血管」は一定時間、流れが止まると死滅する傾向があります。その性質を利用して、外部から圧迫することで血管を減らす方法が「15秒指圧」です。
今回は、特に効果が得られやすいひざの痛みを例に、15秒指圧の手順を解説します。
まず、痛いほうのひざの周りを自分の指(親指が望ましい)でいろいろな場所を押していき、痛みが出るポイントを探します。
明らかにほかの場所よりも痛い場所が見つかったら(多くは指一つ分くらいの狭いポイントが一つ、ないし複数あるはずです)、その場所を一か所につき15秒ずつ、じーーーと押していきます。押す強さはあまり強すぎる必要はないです。爪の色が白くなる程度でOKです。
もともと押して痛い場所を押し続けるわけですから、当然最初は痛みが出ますが、そのまま同じ強さで押し続けて15秒続けます。すると押している痛みも和らいできます。15秒はテレビの一般的なコマーシャル一つ分の長さでもありますから、それをもとにしてもよいです。
ぐりぐりと揉んでしまうのではなく、じ―――と押し続けてください。 15秒押したら、その場所はそれでおしまい。ほかの場所を探して、もしあればその場所も押していきます。1か所につき1日2回くらい押す程度で十分です。早い人で数日、遅くても2-3週間で効果を感じる可能性があります。
もちろん自己治療ですから、必ずしも適切なやり方でできているかわかりません。痛みが反対に強くなってしまうようでしたら無理に続けないようにしてください。また専門の医療機関でやり方をアドバイスしてもらうことも有効です。
ぜひ試してみてください。
Q:運動器カテーテル治療とは?
運動器カテーテル治療とは、痛みの原因となる「もやもや血管」を治療するために開発されたものです。
カテーテルという細いチューブを用います。よく点滴を受けるときに腕の静脈に細くて短い針を挿入するのをご存知ですか?点滴の場合はそこから薬液を流していきます。実際には点滴で使うのは金属の針ではなく、柔軟性のある短いチューブを使っています。
カテーテルはこの点滴で使う短いチューブを極端に長くしたものです。1m以上長くします。細さ0.6mmで、とても柔らかいものです。それを血管のなかに入れていき、かつ血管の中を操作して標的となる場所まで進めていきます。
血管の中を操作する、と聞くと痛いとか怖いというイメージを持つかもしれませんが、血管の内側の壁には神経が走っていないので、実際はカテーテルを進めても何も感じません。
肩の治療を例にしますと、手首の一部を局所麻酔してカテーテルを入れ、血管の中を肩まで進めます。モヤモヤ血管がある場所の近くまで来たら抗生物質でできた薬剤を注入し、もやもや血管を死滅させます。その後はカテーテルを抜きますから、体の中には何も残りません。カテーテルを挿入した場所を止血して治療は終わり。日帰り治療となります。
運動器カテーテル治療は様々な痛みに対応しています。自分の痛みも対象になるの?という方はぜひ専門の医療機関を受診してみてください。
変形性ひざ関節症のカテーテル治療について私(医師:奥野祐次)が書いた論文概要はこちら(2-4年成績とMRI変化)
五十肩のカテーテル治療について私(医師:奥野祐次)が書いた論文概要はこちら(3年経過報告)
Q:手の動注治療とは?
へバーデン結節やCM関節症といった、なかなか治りにくい「手の」痛みに対する特殊な治療法があります。
へバーデン結節やCM関節症がなぜ治りにくいかというと、もやもや血管という異常な血管が増えてしまい、かつ血管とともに神経も増えてしまい、それらがいつまでも残り、痛みの原因になっているためです。
このような手にできた異常な血管を標的とした治療が「手の動注治療」です。
この治療は正味5分ほどで終わる簡単な処置です。
手首の橈骨動脈(とうこつどうみゃく)という、いわゆる「脈を触れる」ときの手首の部位に局所麻酔をします。数分して麻酔が効いたところで、点滴の際に使うサーフローという細いチューブ(直径0.4mm)を動脈の中に短く挿入し、そこから薬剤を流すだけです。
つまり、点滴とほとんど同じことをするわけです。
投与された薬剤は動脈の流れにのって、指先や指の付け根などの患部に到達します。そこで余計に増えてしまった「もやもや血管」に作用して、退治してくれます。
しかももともと抗生物質でできている粒子を流すので、非常に安全です。
へバーデン結節やCM関節症は治せないものだ!とあきらめていた方は、ぜひ専門の医療機関にお尋ねください。
Q:足の動注治療とは?
足底腱膜炎や外反母趾、モートン病などの足の慢性的な痛みを改善する新しい治療法として「足の動注治療」があります。これは、前項で説明した「手の動注治療」と同様に短い時間(10分程)で終わる日帰りの治療法です。
足底腱膜炎やモートン病、外反母趾では、疼痛部に異常な血管と神経が一緒になって増えてしまい過敏になっていることが知られています。このような足にできた異常な血管を標的とした治療が「足の動注療法」です。
足の動注治療では、点滴をするときに使うのと全く同じ、細くて短いチューブ(直径0.4㎜)を、局所麻酔をした足首の血管に挿入して、足首の動脈から点滴をするような形をとります。
足首の動脈から投与された薬剤は血液の流れにのって、かかとや足の裏、足の指の患部まで到達します。そこで余計に増えた異常な血管に作用して退治してくれます。もともと抗生物質でできている粒子を流すので非常に安全です。
足底腱膜炎やモートン病、外反母趾でお困りの方で、何か追加の治療はないか?と考えている方はぜひ専門の医療機関をお尋ねください。
Q:間質性膀胱炎の異常血管に対する、血管内カテーテル治療(新しい治療のご案内)
この治療は、間質性膀胱炎への全く新しい治療法です。膀胱にできた異常な新生血管を消滅させることで、痛みや頻尿症状を改善させます。手術ではないため、入院は必要ありません。1時間くらいでできる日帰り処置です
この治療は、もともとは五十肩や膝の痛みなどの、関節の痛みの治療として普及されてきた治療法です。それを間質性膀胱炎にも応用できることがわかり、新しい治療が進められてきています。
間質性膀胱炎は、膀胱に異常な新生血管ができてしまう病気です。下のレントゲン写真(左)と、同じ場所の血管撮影の写真(右、黒い線が血管)をご覧ください。
右は左膀胱動脈(赤矢印)がよく見える撮影方法です。
正常な場合では膀胱周囲に異常な新生血管は見えません。
こちらは、間質性膀胱炎の患者さんの膀胱動脈の撮影です。
左(治療前)の写真から、赤い矢印で示したように膀胱壁の周囲に異常な新生血管が見えるのがわかります。
右(治療後)では、新生血管が消失しています。
※この患者さんは血管内カテーテル治療を行い、治療前と比べ3割程度にまで痛みの改善が得られました。
カテーテルと言っても、尿道カテーテルとは全く異なります。尿道カテーテルは比較的太いですが、この血管内治療で用いるカテーテルは直径が0.6㎜ときわめて細く、かつ尿道カテーテルのように尿道から膀胱に挿入するのではなく、点滴のときのように血管の中に挿入し、血管の中から膀胱に近づけて薬剤を注入する方法です。
この治療法は現在、新規治療としてスタートしています。
ご興味のある方、詳細について知りたい方は、下記のフォームからお問い合わせください。メールないしお電話にてお答えいたします。
Q:乳がんや肺がんの手術後の痛みへのカテーテル治療(新しい治療のご案内)
乳がんの手術後の痛み(PMPS)や肺がんや食道がんをはじめ、開胸手術後の痛み(PTPS)に対する新しい治療法として、痛みへのカテーテル治療が開発されています。
この治療は、患部にできた異常な新生血管を消滅させるという新しい治療法で、長く続く痛み症状を改善させることができます。手術ではないため、入院は必要ありません。1時間くらいでできる日帰り処置です。
この治療は、もともとは五十肩や膝の痛みなどの、関節の痛みの治療として普及されてきた治療法です。ですが、手術後の傷の痛みにも応用できることがわかり、新しい治療が進められてきています。
上の写真で黒く見えるのは血管です。とくに痛みがある手や肩では異常な血管が増えていることが見てわかります。この異常な新生血管は本来は必要のないものです。
カテーテル治療という日帰り治療でこの異常な血管を治療することで、慢性的な痛みを改善することができることがわかってきました。
この五十肩で効果のあるカテーテル治療(運動器カテーテル治療と呼びます)を応用したのが、乳がんや肺がんの術後の痛みに対するカテーテル治療です。実際に乳がんの手術を受けた後に痛みが続いたひとに、この治療を行なった実例報告がありますからこちら「乳がんの手術をしてから4年間ずっと痛かった傷痕(きずあと)の痛み」もご覧ください。
この治療で用いるカテーテルは、直径が0.6㎜ときわめて細く、かつ点滴のときのように血管の中に挿入し、血管の中から患部に近づけて薬剤を注入する方法です。
この治療法は現在、新規治療としてスタートしています。
ご興味のある方、詳細について知りたい方は、下記のフォームからお問い合わせください。メールないしお電話にてお答えいたします。
Q:モヤモヤ血管を減らすグッズ・・・バンド
テニス肘では余計な血管が増えてしまい痛みの原因になっていることを書きました。そして、テニス肘の改善にはテーピングやサポーターなどの方法よりもバンドが効果的ですと申しました。
実はこのバンドを使用することで、この痛みの原因になっている異常な血管に向かう血液の流れを遮断できるからと言えます。
下の写真を見てください。これはテニス肘で余計にできてしまった血管とそこに向かう動脈の写真です。黒い線が血管です。異常な血管へ向かう動脈は矢印のところから出ているのがわかります。右の写真ではテニス肘のバンドを巻く位置を点線で示しています。こうすると、テニス肘のバンドはちょうどそこに向かう動脈の流れを圧迫するように巻いていることがわかります。
このように、テニス肘のバンドは異常な血管の流れを抑えて痛みを改善させてくれます。
適切なアドバイスが欲しい方は、専門の医療機関への受診を検討してみてください。