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外反母趾
Q:外反母趾とはどういう病気ですか?
外反母趾は、足の親指の付け根の関節が変形し、親指が他の指に向かって曲がり、痛みが出たり、時には皮膚が赤くなり刺激を受けて水疱が形成されたりする病気です。英語ではHallux ValgusあるいはBunionと呼ばれます。
男性より女性に圧倒的に多い病気です。文献では、女性の23%から35%に生じるとされています。10代の女性にも生じることがあります。
診断は、X線で第一中足骨と親指の骨の角度(HV角と呼びます)を測定して、20度以上の角度がつくものを外反母趾と診断します。保存療法(手術をしない治療法)が選択されますが、症状によっては手術も行われています。Q:外反母趾の原因はなんですか?どのように進行するのでしょうか?
外反母趾の変形はゆっくりとすすみます。足のつま先からの圧力によって、親指が徐々に人差し指方向に傾いていき時間をかけて変形し腫れていきます。やがて靴を履くときや歩くときの痛みが生じるようになります。
特に、ハイヒールやパンプスのような幅の狭い靴を履くことが最大の原因と考えられています。
また、生まれつきの扁平足である場合、母趾がほかの指よりも長い場合、母趾の付け根の関節(中足骨頭)がレントゲンで見て丸い形をしている場合などが外反母趾になりやすい足の形態と考えられています。
また全身疾患として、痛風、関節リウマチを持っている場合は、外反母趾になるリスクが高いと言われています。
Q:外反母趾の症状はどういうものがありますか?
腫れていて変形しているという外見上の問題だけでなく、歩くときや靴を履くときの痛み、圧迫すると痛い、赤みを帯びている、親指の付け根の皮膚が硬くなる、親指の可動域が狭くなり、動かしにくくなる、親指がしびれるなどの症状が挙げられます。
また、2番目のゆび(趾)の付け根の裏側が痛むこともよくあります。この部分には硬いタコができる部分でもあります。また外反母趾変形の進行とともに、母趾以外のゆび(足趾)にハンマートウ(槌趾:つちゆび)という変形を生じることもあります。
Q:外反母趾で親指の付け根にジンジンする痛みと赤みがあります。外反母趾ではなぜ赤みを帯びたり、痛くなったりするのですか?
外反母趾に限らず、人間の身体で赤くなったり腫れたり、痛くなる場合は、必ず「炎症」が起きています。
炎症が生じている際は、通常には見られないような異常な血管が生じており、それとともに神経も一緒に増えて痛みの原因になっています。また、最近になって、この余計に増えた血管を治療する方法も開発されています。詳しく知りたい方はこのページの後半も読んでみてください。
Q:外反母趾は遺伝するのですか?
遺伝する傾向が強いです。
イギリスからの報告では、外反母趾の患者91例を調べたところ、63%で家族内発症があり、またアメリカの報告では、手術を受けた外反母趾の患者108例のうち86例の患者は両親または祖父母の代に外反母趾患者がいたと報告があります。
Q:外反母趾は10代でもなりますか?
10歳から15歳の女の子にも足の親指の付け根の痛みが生じてしまうことが知られています。専門の医療機関の受診も検討してみてください。
Q:外反母趾で痛みがあり、スニーカーに変え、セルフケアなど様々取り組んできましたが改善しません。手術しかないと言われますが、角度もそこまで悪くないとも言われます。しかし靴を履いていなくても痛いです。手術以外に方法は無いのでしょうか?
前述したように、外反母趾では親指の付け根の関節の周囲に炎症が起きてしまい痛みの原因になっています。靴を履いていなくてもジンジン痛いというのは、まさしく炎症が強い状態とも言えます。このような際は、炎症部位に異常な血管ができてしまい、それとともに神経が増えるために安静時にもジンジンするような痛みの原因になっていると考えられます。
最近は治りにくい外反母趾への新しい治療として、この異常な血管を標的とした5分ほどでできる動注治療という治療方法が注目されています。
詳しく知りたい方は、こちらのページ「足の動注治療とは?」も参考にしてみてください。
Q:外反母趾に有効なストレッチや自分でできるセルフケアはありますか?
外反母趾で痛みがある場合、足部のアーチ(土踏まずのところ)が望ましくない状態になっていることが多くみられます。また、足の裏の硬さも見られることがあります。ここではこれらを改善するためのセルフケアを2つ紹介します。
足の裏のマッサージ
1つめは、足の裏のマッサージがあります。特に、足の親指の付け根から踵にかけて足部の内側が硬くなりやすいので、そこを中心に行います。ポイントは、指で押し込むように強く揉むのではなく、筋の線維をほぐすようなイメージで指を前後左右に動かしながらマッサージをします。
足の指の動きを良くするストレッチ
2つめは、足の指の動きを良くするストレッチです。足の指の裏を手の指先で押さえ、ゆっくりと足の指を反らせるようにします。すると、足の裏の一部の筋肉が伸びて張ってくると思います。この状態で10秒伸ばします。次に足の指を曲げるようにします。すると、足の甲の一部が伸びて張ってくると思います。この状態で10秒伸ばします。
Q:外反母趾に有効なテーピングはありますか?
足の親指が内側に入り過ぎないようにするためにテーピングが効果的です。
幅2.5㎝など細めのテープを使用します。足の親指と人差し指の間にスポンジなどをはさみ、親指が内側に入らない位置にします。
1.親指付け根の側面(内側)から踵の内側まで貼ります。
2.足裏の親指付け根から内くるぶしまで貼ります。もう1本は
3.足背部の親指付け根から踵の少し足裏側まで貼ります。
2と3のテープは親指付け根の突出した部分で交差するようにします。
Q:外反母趾に有効な足底板(インソール)はありますか?
外反母趾の方の足に共通する傾向として、踵が内側に倒れることで、歩いているときに足の親指への過剰な負担がかかりやすくなることが挙げられます。また、足部のアーチ(縦アーチ、横アーチ)の崩れが見られることが多いです。
適切なインソールは、踵の内側(母趾側)を高くして踵が内側へ倒れないようにし、土踏まず(内側縦アーチ)を高くするようなものが望ましいです。さらに足の人差しや中指の付け根を高くするような(横アーチ)インソールを使用すると衝撃緩衝能力が上がり、足の親指への過剰な負担を軽減することができます。詳しくは専門の医療機関に相談してください。
Q:外反母趾の手術はどういうものがありますか?入院期間やリスクについても教えてください。
手術はたくさんの種類がありますが、多くのものは骨を一部削り、変形を是正するものです。入院期間は術式にもよるのですが、1週間前後が平均的です。
術後は足全部を接地せず、かかとで歩くようなサンダルで歩き(場合により松葉杖が必要)、普通の靴が履けるようになるまでに2~3ヶ月程度かかります。合併症として、術後の創部痛、神経痛を認めることがあります。
Q:外反母趾で悩んでいる50代です。手術を勧められていますが、受ける勇気がありません。改善させる方法は他にありますか?
前半でも述べたように、外反母趾では炎症が生じており、異常な血管が増えていて治りにくい痛みの原因になっていることが知られています。このような異常な血管を減らす新しい治療があり、5-10分ほどの短い処置で終わるため最近になって広まっています。詳しく知りたい方はこちらのページ「足の動注治療とは?」も参考にしてみてください。
また、こちらの治療実例も参考になさってください。