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へバーデン結節
Q:手の指の第1関節が痛くなりました。
第1関節(DIP関節と呼びます)に痛みが出てしまう病気として「ヘバーデン結節」があります。第1関節の背側に2つのコブ(結節)ができるのが特徴です。
関節の炎症により関節を包んでいる袋がゆるみ、屈曲方向に曲がりはじめ(第一関節が伸び切らない状態になります)、また摩耗した骨が周囲にいびつな骨を増生させて骨性の膨隆が生じます(骨棘と呼びます)。一つの指だけでなく、複数の指に生じるのが特徴です。40代以上の女性がかかることが多いです。
Q:へバーデン結節の症状は?
人差し指から小指にかけて第1関節に赤みを帯びる、腫れる、痛む、曲がったままになるなどの症状があります。
第1関節に可動域制限が生じ、動きも悪くなります。また、痛みのために強く握ることが困難になります。指を使った動作での痛みが生じる、あるいはじっとしていても痛みを伴うこともあります。食器洗い、やパソコンの入力、お箸を持つことなどができなくなってしまいます。 ごくまれに、親指にも症状が出る方がいます
Q:へバーデン結節の原因は何ですか?
へバーデン結節の直接の原因は不明です。
しかし、病気の性質から、変形性関節症という病気の一種であると考えられているため、加齢や使いすぎが原因となっていると考えられます。特に40代以上の女性に多く、また肥満の人に多く見られるため、食生活なども関係していると考えられています。
また手を酷使も原因と考えられており、農作業などの仕事についている人に多いです。
Q:指先が腫れて痛みが出てきました。へバーデン結節かもしれませんがどうやって診断しますか?ほかの病気の可能性はありますか?
へバーデン結節の診断は、第1関節の腫れ(腫脹)と、特徴的なレントゲン所見(関節裂隙の狭小化と骨の隆起)によって診断します。
注意すべき他の病気としては、関節リウマチ、乾癬性関節炎、痛風などといった病気を疑いますが、それぞれ特徴があるため、専門の医療機関で検査することが望ましいです。
Q:へバーデン結節の予防には何が有効ですか?
へバーデン結節は関節の摩耗が進行する病気で、進行を止める方法は確立されていません。
ただし、関節に負担をかけないように固定をすることや、負担のかかる仕事を避けることで予防につながります。また糖分の多い食事や肥満の進行が病気を悪化させるため、食事管理や体重減少も有効と考えられます。
摂取したほうがよい食べ物
豆乳を使った製品や大豆製品などは積極的に摂取することが良いです。また炎症を抑えると言う意味では、DHAやEPAという脂肪酸(炎症を抑える働きがある)を多く含む食材(サバ、イワシなどの青魚)は積極的に摂取すると良いです。
摂取しないほうがよい食べ物
カロリーの多い食事、糖質の多い食事、甘いものを多量に摂取することなどは関節の周りに炎症を起こすことがわかっています。糖質や糖分の摂取量を減らしましょう。炭水化物や糖質を今まであまり意識したことがなく普通に摂取していたと言う人は、ご飯、パン、麺、お菓子等を今の量の半分に減らすと良いと思います。
また、へバーデン結節の発生にカフェインの摂取が関係すると言う説があります。気になる方は摂取量を控えたり、カフェイン量の少ないデカフェやカフェインレスのコーヒーに変えるなど工夫をすると良いと思います。
アルコールは避けたほうがいいです。アルコールを飲むことで、全身の血管が拡張します。ヘバーデン結節では関節周りに異常な血管が増えてしまい神経と一緒になって痛みが出ているので、アルコールを飲むことでズキズキとした痛みが強くなると言う方が多くいます。
Q:へバーデン結節でやってはいけないことはありますか?
痛みが出ている時期に、その関節を無理に動かしたり、変形しないようにと反対方向に無理矢理力を加えたり、ぐりぐりとマッサージをしたりする事は、関節の炎症を強めて痛みを増強させ、将来の変形を進めてしまうのでやってはいけません。避けるべきです。
Q:ヘバーデン結節はどう進行しますか?そのまま放置しておくとどうなりますか?
ヘバーデン結節は、放置しておくと10年ほどの期間をかけて変形が進むと考えられています。徐々に他の指に症状が広がっていくことが多いです。
ヘバーデン結節の初期の症状は腫れや皮膚の赤み、そして痛みです。数年かけて変形が進み、最後は側方変異(横に曲がる)や屈曲した状態で関節が固まります。固まると痛みがなくなることが多いです。
ヘバーデン結節は、放置せずできるだけ早く有効な治療をしたほうがいいです。炎症を放置しておくと、骨の変形に進んでしまい、そうなると元に戻せなくなります。最後は見た目にも曲がってしまいます。
それを防ぐには、痛みが出始めた早い段階から、炎症を軽減させる治療をすることをお勧めします。ステロイド注射などは一時的なため、根治的な治療法はないとされていましたが、最近は5分でできる動注治療というものがあります。ぜひこちらも参考にしてみてください。
Q:第一関節のところに水ぶくれのような水疱のようなものができました。ヘバーデン結節と関係ありますか?
これはミューカシストと呼ばれ、第一関節の変形に伴い関節液が外に膨らんできているものです。ヘバーデン結節に見られる状態の1つです。関節の袋とつながっているため、ご自身で潰すと細菌が入って感染する可能性があるため、やめましょう。
Q:ブシャール結節はどんな病気?
ヘバーデン結節が第一関節に生じる変形性関節症に対して、ブシャール結節は第二関節に生じるものです。一般的にはヘバーデン結節が生じ、それなりに進行した後にブシャール結節が生じることが多いです。順番としてはヘバーデン結節の発症が先になることが一般的です。
Q:へバーデン結節は何歳からなりますか?30代でヘバーデン結節になってしまいました。珍しいことですか?
これまでの報告では30代の人でも10.6%の人がヘバーデン結節や変形を生じていると報告されていて決して珍しいわけではありません。30代が10.6%、40代は20.7%、50代は28.6%、60代は35.3%、70代は50.5%、80代は59.1%と年齢とともに罹患率が上がります。(※1)
Q:母もよく思い出すと、指の第一関節が曲がっていて変形していました。へバーデン結節は遺伝しますか?
ヘバーデン結節は遺伝が関与すると考えられています。ですが、遺伝は関係なかったとしても女性の方の場合は2人に1人が85歳までに症状を有するヘバーデン結節ができると考えられているため、決して珍しいわけではありません。(※2)
Q:へバーデンの手術にはどんなものがありますか?
大きく分けると関節固定術と関節形成術があります。また最近では人工関節の置換も行われています。それぞれメリットデメリットがありますので、専門の医師によく聞いてから検討してください。
Q:へバーデン結節の治療にはどんなものがありますか?
一般的な治療としては、保存的療法(手術ではない方法)としては、安静(固定も含む)や消炎鎮痛薬、局所のテーピングなどがあります。急性期では少量の関節内ステロイド注射も有効です。
保存的療法で痛みが改善しない場合は手術の選択肢もあります。手術法にはコブ結節を切除するものや関節を固定してしまう方法が行われます。
具体的なテーピングの方法についてはこちらの動画で解説しておりますので、ぜひご覧ください。
Q:へバーデン結節と診断されていますが、湿布や痛み止めを処方されるだけで一向に治りません。手術は避けたいです。他に治療法はありますか?
一般的な治療法で改善されない場合、新しい治療法も検討してみてもよいと思います。
最近では変形性関節症の関節には余計な血管が増えていて、腫れや炎症、痛みの原因になることが知られており、それらの血管を減らすための新しい治療も開発されています。5分ほどで終わる簡単な治療で、一般的な治療よりも効果があります。
既に変形してしまった関節を元に戻すことはできませんが、早い時期(炎症が起きている最初の数年間)に治療を始めれば、変形の進行を止めることができます。以下の治療実例を参考にしてください。
こちらの動画でも説明しております。
参考文献
(※1)K Fujisawa et al:Heberden’s node- Morbidity survey in the general population - Jpn. Soc. Surg. Hand, 4:769-772, 1987.
(※2)Qin J, Barbour KE, et al. Arthritis Rheumatol 2017; 69: 1204–12.