トップページ > 開胸手術後の痛み 開胸術後疼痛症候群(PTPS)
開胸手術後の痛み 開胸術後疼痛症候群(PTPS)
Q:肺がんの胸腔鏡手術をした後に、胸の手術の傷のところやその周辺にチクチクした痛み、不快感が続いています。もう1年以上経過します。改善しないのですが、何かの病気でしょうか?
胸腔鏡手術の傷に関連した術後痛は、専門的には「開胸術後疼痛症候群(PTPS)」と呼ばれます。肺がんや食道がん、または心臓の手術などで開胸手術を受けたあとに痛みや不快感が生じます。発生頻度は25%から50%と報告にばらつきがあります。症状は開胸手術のキズ(創部)の周辺が痛み、うずき、ピリピリした感覚、締め付けられるような感覚、などを訴える方が多いです。
一般的な治療法は、内服薬などが処方されますが、効果はあまり高くありません。
最近になって傷跡に生じた異常な血管を標的とした新しい治療が応用されています。詳しく知りたい方は、このページの後半もご覧ください。
Q:心臓の病気で開胸手術を受けたあとに、あばらの痛みがあります。術後1年と5カ月くらいで少し和らいだのですが、その後は変わりません。開胸術後疼痛症候群(PTPS)と診断されました。原因は何ですか?
開胸術後疼痛症候群(PTPS)の原因は、開胸手術中の胸壁、壁側胸膜へのダメージによって慢性的な炎症が生じて痛みが出ている、あるいは肋間神経が手術で損傷されることによる神経障害性疼痛と考えられています。
また手術自体は身体にダメージを加えることなので、それに反応して炎症が起きてしまうことがあり得ます。最近ではそのような炎症部位には、手術の傷の周囲に異常な血管が増えてしまっており、これと神経が一緒に増えることで治りにくい痛みが生じていると考えられています。
特に50代など若い女性の方が手術を受けた時になりやすいとされています。
リスク因子(これが当てはまると、開胸術後疼痛症候群(PTPS)になりやすい)としては
・女性
・60歳未満
・不安障害やうつ病
・術後1日目から強い痛み
・手術による肋間神経の損傷
上記が挙げられています。これらの要因があると、PTPSになりやすいようです。
Q:食道がんで開胸手術をしたあとから胸の痛みが強いです。開胸術後疼痛症候群(PTPS)と診断されました。いつになったら治りますか?
開胸術後疼痛症候群については、どのくらいしたら治るかというのは定かにはなっていません。数か月で改善する方もいますが、中には数年単位で痛みが続くひともいらっしゃいます。
リリカなどの内服薬では効果が出ないことが多いです。
下記の新しい治療も参考にしてみてください。
Q:肺がんで手術して2年が経ちますが、胸の痛みが改善しません。リリカなど試していますが効きません。痛みを和らげるのに他に方法はありますか?
最近になって慢性的な炎症が原因の場合は、炎症によって生じた異常な血管を標的にしたカテーテル治療が効果があるという報告があります。一度こちらの記事「乳がんの手術をしてから4年間ずっと痛かった傷痕(きずあと)の痛み」も参照にしてみてください。
ご検討されたい方はこちらのページ「乳がんや肺がんの手術後の痛みへのカテーテル治療」も参考にしてみてください。