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グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)
Q:グロインペイン症候群はどんな症状ですか?
グロイペイン症候群は、鼠径部痛症候群とも言われ股関節や足の付け根に痛みや不快感を引き起こす症状の総称であり、その原因はさまざまです。グロインとは足の付け根を意味する英語です。一般的な症状としては以下のようなものがあります。
痛みや不快感:
鼠径部に局所的な痛みや不快感が生じます。この痛みは、鋭い痛み、鈍い痛み、刺すような痛みなど、さまざまなタイプのものがあります。
運動時の症状:
特に運動や身体活動時に痛みが増加することがよくあります。走る、跳ぶ、座るなどの動作が痛みを引き起こすことがあります。
痛みの放散:
鼠径部の痛みが腹部や大腿部に放射痛を引き起こすことがあります。このような症状は、診断において重要な情報となります。
グロインペイン症候群の原因は多岐にわたり、股関節の問題、筋肉や腱の損傷、神経の圧迫、内臓の疾患などが関与することがあります。そのため、正確な診断と適切な治療を受けるためには、専門家である医師に相談し、MRIなどの適切な検査を受けることが重要です。
グロインペイン症候群の症状や原因、治療法について動画でも解説しています。
Q:どんな人がグロインペイン症候群になりやすいですか?
スポーツや身体活動、特にサッカーやラグビー、アメリカンフットボール、陸上競技、ダンスなど、骨盤や鼠径部に負荷をかけるスポーツや活動を行う人々は、グロインペイン症候群になりやすいです。
鼠径部や骨盤に関する過去のケガや手術がある場合、それが後遺症としてグロインペイン症候群になることがあります。
Q:自分がグロインペイン症候群でないか気になっています。セルフチェック方法はありますか?
グロインペイン症候群のセルフチェックを紹介します。
■その1 アダクタースクイーズ(両脚を閉じる検査)
仰向けになり両方の股関節をやや曲げた状態でタオルなどを力強く挟む。股関節に痛みでたり、力が抜ける時は要注意です。
■その2 両脚開脚テスト
仰向けになり、両脚を軽く曲げて足裏をつけた状態で開脚します。股関節に痛みや開脚できない時は要注意です。
■その3 股関節抱え込みテスト
仰向けになり膝を胸に抱える。股関節に痛みがでたり、抱えることができない場合は要注意です。
セルフチェックを行い痛みなどがあれば専門の医療機関の受診をすすめます。
Q:グロインペイン症候群はどうやって治すことができますか?
治療は安静、リハビリテーションなどの保存療法が行われます。可動性、安定性、協調性の問題を評価し、マッサージ、筋力訓練、協調運動訓練などの運動療法を行います。
保存療法に抵抗して長期間疼痛が消失しない場合は、メスを入れる外科手術が考慮されることもありますが運動復帰までに時間がかかってしまいます。
当院ではカテーテル治療という特殊な治療法を行っています。痛みの原因になっている異常な血管を標的とした治療です。
詳しくは下記の治療症例をご参照ください。
Q:治療期間はどのくらいですか?完治までの期間を教えてください。
グロインペイン症候群の治療にかかる時間は、症状の重症度、原因、選択される治療法などが関与します。
軽症の場合はスポーツ中止、安静、保存療法などで1~2か月で改善します。重症の場合は数か月かかることもあります。
一部の患者様は、症状の持続的な管理が必要となり、定期的な物理療法や薬物療法、運動療法などを受ける必要があることがあります。このような場合は長期間にわたることがあります。
Q:グロインペイン症候群でやってはいけないことは何ですか?
グロインペイン症候群の症状を悪化させる行動や動作や負担はさけてください。自己診断や誤った治療は症状を悪化させる可能性があります。
痛みを和らげるためには適切な休息と身体活動の調整が必要です。特定の姿勢や運動が症状を悪化させることがあるので痛みがでるような無理な姿勢や運動を避けるべきです。最も重要なことは、グロインペイン症候群の治療は医師や専門家の指導に基づいて行うことです。症状が不安定である場合や治療に疑問がある場合は、すぐに医師に相談し、適切なケアを受けるようにしましょう。
Q:グロインペイン症候群に効果的なストレッチはありますか?
ここでは代表的な3種をご紹介いたします。
■その1 股割り(内転筋ストレッチ)
疼痛部に近い内転筋群のストレッチです。このストレッチ自体が強い痛みを伴う場合は避けてください。
つま先と膝を大きく外に開き腰を落とします。この体勢がきつければ椅子などに浅く腰を掛けても大丈夫です。胸を張りながら肩を前方に押し出し、手で膝の内側を押し、内もものストレッチを感じます。
20~30秒ほど行いましょう。
■その2 腸腰筋のストレッチ
こちらも疼痛部に近い股関節前面のストレッチです。
片膝立ちの姿勢から体を前方へ移動していきます。この時おしりを後ろに残さないように前の方へ出していくと、膝を付いた側の股関節前方のストレッチ感を感じやすいです。
20~30秒ほど行いましょう。
■その3 広背筋のストレッチ(胸椎の伸展可動性改善)
背中にある広背筋が硬いと骨盤の動きが邪魔されグロインペインに対し負担となります。また胸椎・胸郭の可動性を出すことも改善には重要です。
四つ這いの姿勢から手を大きく前方に置き、胸を地面に近づけましょう。この時おしりの位置は高い位置をキープしましょう。肩に痛みがある場合は無理のない程度に和らげてください。
20~30秒ほど行いましょう。
Q:早く治すためにはどうしたらいいのでしょうか?
軽症であれば1、2か月で治りますが、重症となると簡単には治りません。早期の診断と治療を受けることで早く治ることが多いため、症状がある場合は早めに医師に相談しましょう。
安静やストレッチ、リハビリなどの保存療法が原則です。ただし、このような保存療法では簡単に痛みが消失しないことも多いです。異常な血管ができて痛みが生じることがあり、その血管を標的とした運動器カテーテル治療によって競技復帰までの期間が短縮できるケースもあります。
詳しくは下記の治療症例をご参照ください。