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PRP療法(多血小板血漿療法)NEW
Q:PRP療法とは何ですか?
PRP療法とはPRP(Platelet-Rich Plasma(プレートレットリッチプラズマ):多血小板血漿)を関節内病変などに投与する治療法です。PRPには血漿中に含まれる血漿蛋白や血小板や白血球から放出される成長因子など多種多様な生理活性物質が含まれており、これらによる組織修復と抗炎症作用を期待して治療を行います。PRP療法では患者自身の血液を採取し、PRPを抽出します。
この治療法は、自分の血液を使うためアレルギー反応や副作用が少なく、安全性が高いとされていますが、効果には個人差があり、まだ研究が進行中の分野でもあります。
PRP療法について動画でも解説しています。
Q:PRP療法はどのような痛みに効果がありますか?
PRP療法は、慢性の痛みや炎症に対する治療として使用されることもあります。以下のような痛みに効果があるとされています。
- 関節痛 適応症: 変形性膝関節症、股関節症、肩関節症、足関節症、CM関節症など。
- 腱や靭帯の痛み 適応症: テニス肘(外側上顆炎)、アキレス腱炎、膝蓋腱炎など。
- 筋肉の痛み 適応症: 筋肉の肉離れ、筋損傷など。
- 腰痛や椎間板の痛み 適応症: 慢性腰痛、椎間板ヘルニア、腰椎変性疾患など。
- 外傷後の痛み 適応症: 骨折、外傷後の関節痛や筋肉痛など。
- 肩の痛み 適応症: 腱板損傷、肩関節炎、肩関節周囲炎(五十肩)など。
Q:PRP療法はどのようなプロセスで進めますか?
PRP療法は以下のようなステップ、プロセスで進められます。
ステップ1. 初診・カウンセリング
治療を希望する患者は、まず医師の診察を受けます。この段階で、患者の症状や既往歴、治療の目的などが確認され、PRP療法が適切であるかどうかが判断されます。また、PRP療法のメリットやリスクについて説明が行われます。
ステップ2. 血液の採取
血液を採取します。通常、20〜60ml程度の血液が採取されます。採取量は治療部位や目的に応じて異なります。
ステップ3. 血小板濃縮(PRPの抽出)
採取された血液を遠心分離機にかけて、血液中の成分を分離します。このプロセスにより、血漿部分が取り出され、その中の血小板が濃縮されます。この濃縮された血小板が豊富に含まれるプラズマ(血漿)が「PRP」です。
ステップ4. PRPの注射
PRPを治療が必要な部位に注射します。注射の部位は、関節、腱、筋肉、皮膚など、治療の目的によって異なります。
ステップ5. 治療後のケア
治療後、数日間は注射部位に痛みや腫れが生じることがありますが、通常は数日以内に収まります。医師の指導に従って、安静や必要なリハビリを行います。
ステップ6. 効果の確認と追加治療
治療後、数週間から数ヶ月かけて、PRPによる組織の修復が進行します。効果が見られるまでには時間がかかることがあります。必要に応じて、追加のPRP治療が行われることもあります。
Q:PRP療法の副作用やリスクはありますか?
PRP療法は患者自身の血液を使用するため、比較的安全で副作用が少ない治療法とされていますが、全くリスクがないわけではありません。文献あるいは疾病報告等によれば、注射部位の疼痛や炎症、神経障害、反応性の関節炎、筋や腱の断裂、化膿性関節炎の発症が報告されています。
Q:PRP療法は効きますか
実はまだ議論がわかれています。一部の人にはPRP療法が効いたという実績がありますが、一部の人にはまったく効かなかったと効果に関して散見があります。生理食塩水をうった人と効果はあまり変わらなかった例もあるそうです。
論文によると、実は最近になってPRPが効かない、強い炎症をもった人が打つとよけいに痛みが強くなると報告があります。
強い痛みの原因の一つに、モヤモヤ血管とよばれる異常な血管があると最近になってわかってきました。このモヤモヤ血管を減らす動注治療をすることで、痛みを改善することができます。費用は3万円(税別)とPRP療法よりも安く、2~3分でできる治療です。PRP療法が効かず、痛みで困っている人はぜひ痛みの専門治療で調べてみてください。
Q:PRP療法の効果はどのくらい持続しますか?
PRP療法の効果の持続期間は、治療を受ける部位や症状、個々の治療反応によって異なります。一般的には数ヶ月から1年程度効果が続くことが多いですが、効果が薄れてきた場合や症状が再発した場合には、再度PRP治療を行うことで効果を延長させることができます。
Q:PRP療法はどのような症状に適していますか?
PRP療法は日本では肩、肘、膝、手、足といった関節及び筋、腱、靭帯といった軟部組織に対して行われています。特に膝や肘のさまざまな炎症性疾患や損傷に対して、組織の修復と炎症の抑制を通じて、痛みの軽減と機能の回復を促進する治療法として広く適用されています。
具体的には膝に対する適応症として変形性膝関節症、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、半月板損傷、靱帯損傷、肘に対する適応症としてテニス肘(外側上顆炎)、ゴルフ肘(内側上顆炎)、靭帯損傷(肘内側側副靭帯損傷など)があります。
Q:PRP療法と他の再生治療との違いは何ですか?
PRP療法以外の再生治療として幹細胞治療があります。PRP療法は自身の血液を使って行う治療法であり、幹細胞治療は体の中にある幹細胞(体性幹細胞)を使って行う治療法です。幹細胞は、骨や軟骨、筋細胞、血管新生に関わる細胞などになることができる細胞です。自身の脂肪組織から採取した幹細胞を、体の外で培養して増やし、関節内に投与するASC療法(脂肪由来培養幹細胞療法)がおもに行われています。
ASC療法は軟骨損傷にしか使用できませんが、PRP療法は腱損傷、靭帯損傷にも使用することができます。PRP療法は比較的軽度の軟骨損傷に使用されるのに対し、ASC療法はより進行した軟骨損傷にも効果が期待できるとされています。
Q:PRP療法はどれくらいの期間かかりますか?年齢制限はありますか?
通常、PRP療法の一回の施術には約1〜2時間かかります。PRP療法は、多くの場合、数週間から数ヶ月の間に複数回の施術を行うことがあります。一般的には2〜3回の注射が推奨されることが多いです。効果は通常、数週間から数ヶ月かけて徐々に現れます。多くの場合、治療後1〜3ヶ月以内に症状の改善が感じられることが多いです。治療ができる対象年齢は高校生以上から受けることができ、採血と注射で完了する治療なので、基本的に年齢の上限制限はありません。
Q:PRP療法の治療後のケアはどのように行いますか?
PRP療法後のアフターケアは、治療効果を高め、回復を促進するために欠かせません。治療直後は安静と冷却が重要で、数日後から徐々に運動を再開します。長期的には、適切な運動と再発予防に取り組むことが推奨されます。医師の指示に従い、無理をせず慎重にケアを行うことが大切です。
Q:PRP療法の実績や効果を教えてください
疾患や重症度にもよりますが6割くらいの患者に効果が出るとの報告が多いです。変形が軽い場合は7割、軟骨のすり減りが進行しすき間がほとんどなくなってしまっている場合は5割ほどですが痛みの改善に関して、効果が見られない場合もあります。
この痛みの原因はモヤモヤ血管とよばれ異常な血管が原因だとわかってきました。PRP療法が効かない場合、別の治療法を調べてみてください。
<参考資料>
・関節外科 Vol.39 No.9(2020) 幹細胞・PRP・衝撃波−Biologic healingのエビデンス
・再生医療等安全性確保法における再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに資する研究 中間報告