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アキレス腱炎
Q:足が痛くて病院に行ったらアキレス腱炎と言われました。
かかとの後ろやふくらはぎの下の方が痛い、つま先立ちなどで痛い、動き出しの時にかかとが痛い、などの症状はアキレス腱炎である可能性が高いです。
アキレス腱炎はアキレス腱が過敏な状態になり、スポーツや日常生活など様々な動作が痛くなってしまう状態です。特に走ることが多い競技をする人に多いですが、それだけでなく日常生活しかしていないのにアキレス腱炎になる人もいます。
アキレス腱炎は放っておいて簡単に治ることもありますが、残念ながらなかなか治らずに時間が経過することも少なくありません。なかなか症状が改善しない方は専門の医療機関への受診が望ましいです。
Q:アキレス腱炎で痛くなる場所はどこですか?かかとの骨のあたりが痛いのですが、これもアキレス腱炎でしょうか?
アキレス腱炎は2つの場所に起きやすいです。
一つは踵(かかと)の骨に非常に近いところ(アキレス腱付着部と言います)、もう一つはアキレス腱の中腹(ふくらはぎとかかとの中間くらい)で、アキレス腱が少しくびれているあたりです(アキレス腱中央部とも言います)。
どちらの痛みかで多少治療法も変わってきます。良く知りたいという人は専門の医療機関を受診することをお勧めします。
Q:アキレス腱炎とはどんな症状でしょうか?診断はどうやってしますか?
運動をしているとき、かかと付近が痛い。つま先立ちした時、歩きはじめにかかとが痛い症状があります。ほかにもアキレス腱が腫れている症状があれば可能性が高いです。
さらにエコーを使って患部を診断することで、迅速にアキレス腱炎か確定診断します。
アキレス腱炎患者の実際のエコー検査の画像です。腫れて炎症を起こしている部分が赤色になっています。赤色部分が痛みの原因です。
Q:アキレス腱周囲炎と言われました。アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎はどう違いますか?
アキレス腱炎もアキレス腱周囲炎も同じものです。呼び方にいくつかの種類があるだけで基本的には同じ病態を指しています。
Q:アキレス腱炎と診断され、安静にしていれば3週間で治ると言われました。しかし4か月たっても治りません。アキレス腱炎の治るまでの期間は通常どれくらいでしょうか?
アキレス腱炎は軽症のものと重症のものに分かれます。
確かに軽症であれば3週間かあるいは2か月くらいで治ります。しかし痛くなってから半年しても半分近くの人が痛いままであり、このような人は重症に分類されます。
重症のアキレス腱炎では「いつ治る」と予測するのは難しくなります。重症の場合、1年後も痛みが続いていることがほとんどであり、通常のケアでは治りきらないことが多々あります。なるべく悪化させないように安静にしますがそれでも改善しない場合は、原因に正しくアプローチする必要がありますので、専門の医療機関への受診をお勧めします。
Q:アキレス腱炎が治りません。診断されてから3か月ほど経過します。アキレス腱炎の原因は何ですか?なぜなってしまうのでしょうか?
アキレス腱炎の原因の一つは「くり返される負担」です。ランニングやトレーニングで繰り返しの負担がかかり、アキレス腱炎は生じます。もう一つの原因は年齢です。40歳を過ぎると、運動をしていなくてもアキレス腱炎になることがあります。
アキレス腱炎の正体はアキレス腱の中で「血管が余計に増えてしまう」ことだと考えられています。人間の体は繰り返しの負担で血管が増えるようにできています。特に休まずにハードな練習を続けると増えていきます。また40歳を過ぎると、負担が無くても余計な血管ができてしまします。
血管と一緒に神経線維も増えるという体の基本ルールがあるため、痛みが出てしまいます。この「余計な血管」について詳しく知りたい方はこちらの記事「治りにくい痛みの原因、「モヤモヤ血管」とは?」もどうぞ。
Q:アキレス腱炎になって半年が経過します。さまざまな治療をしたものの治らないのですがなぜでしょうか?
症状の軽い軽度のアキレス腱炎であれば一定の期間(数週間)で治りますが、重症となると簡単には治りません。
練習をストップし治療をしているのに治らない、という場合は、いま受けている治療が「痛みの原因」に正しくアプローチしていないからかもしれません。先ほどの記事でも述べていますが、アキレス腱炎の痛みの原因は「異常な血管とその周りに増えた神経」です。この痛みの原因にアプローチしないと痛みは治りません。半年経過しているのなら重症である可能性がありますから、ぜひ専門の医療機関を受診されることをお勧めします。
アキレス腱炎になって3か月ほど経ちます。趣味のスポーツをやめたくないので痛いけど続けています。このまま続けると断裂してしまう可能性などありますか?
断裂の可能性が高いかどうかは年齢によります。
10代、20代の方でしたら、断裂の可能性はゼロではないですが、とても高いとは言えません。若い人でアキレス腱が断裂する場合は、かなり強い負担がアキレス腱に一瞬でかかった時で、これはアキレス腱に普段は痛みがなかった人が運動した際に起きがちです。普段から痛みがある場合は身体が自然と負担をかけないようにブレーキをかけて運動をするので、断裂を経験しないことが多いです。
ただし、後述するようにステロイドの注射や体外衝撃波という治療を受けた人は、アキレス腱が通常より弱くなっており、これらの治療をあまりに繰り返すと断裂の可能性が高くなります。
反対にあなたが40代後半あるいは50歳以降でしたら、断裂の可能性は若い人に比べると高くなります。45歳以上では異常な血管ができやすい体質になります。アキレス腱に異常な血管が増えると痛みも出るのと同時に、組織も弱くなってしまいます。このため少しの日常動作の負担でも断裂してしまうことがあり得ます。
ただし、医療機関でエコーの検査などでアキレス腱を観察してみることが一番重要です。
断裂などの不安のある人はぜひ専門の医療機関を受診してみてください。
Q:アキレス腱炎に注射を受けようか迷っています。注射は効きますか?
アキレス腱炎に注射をする場合、どんな薬剤を使うかが重要です。ステロイドという薬があり、炎症を抑えてくれるという意味では優れた薬なのですが、アキレス腱に打つことはお勧めしません。というのもアキレス腱にステロイドを数回打つと腱が弱くなってしまい断裂してしまうことがあるからです。
またヒアルロン酸の注射というのがあり、こちらは腱が弱くなることはありませんが、効果もあまり期待できません。
結論として注射はやみくもに受けるのは良くありません。なるべく専門の医療機関で適切に受けることが望ましいです。
Q:アキレス腱炎に効果のあるストレッチを教えてください。
アキレス腱炎にはエキセントリックストレッチングというストレッチが効果的です。以下にその方法を示します。
1.階段や足台などの段差のあるところでおこないます。
2.痛いほうの足の先を段差にかけて、かかとをゆっくりと降ろしていきます。
3.するとアキレス腱が伸びて、痛みが出るはずです。我慢できる程度の痛みの範囲でアキレス腱を伸ばすのを続けます(15秒ほど)
4.これを3回で1セット。1日に2セットほど行ないます。
上記のやり方はストレッチの最中は痛みがでますが、アキレス腱が伸びることで、アキレス腱炎の原因である異常な血管への血液が遮断されるため、続けていくことで異常な血管が減少して痛みが改善していくことが論文などで実証されています。最低でも2週間くらいは続けてください。
Q:アキレス腱炎を患っており、体外衝撃波(ESWT)治療をドクターから勧められました。アキレス腱炎に衝撃波の治療はどの程度効果が期待できますか?
体外衝撃波はアキレス腱炎にはあまり強くお勧めしません。衝撃波治療は神経線維にダメージを与えて痛みを感じなくさせるという治療ですが、これをすることで反対に痛みが治りにくくなってしまう人が一定の割合でいます。また、組織にもダメージが生じるので、アキレス腱が断裂しやすくなってしまいます。これらの副作用は海外の論文などでも指摘されていますので、よく主治医に聞いて慎重に選ぶことをお勧めします。
Q:アキレス腱炎になり、通常の病院や治療院に行きましたが改善しません。さらなる治療にはどういうものがありますか?
重症のアキレス腱炎の場合には、運動器カテーテル治療という特殊な治療法があります。アキレス腱炎の痛みの原因になっている異常な血管を標的とした治療で、完治を目的としたものです。詳細はこちらの記事「運動器カテーテル治療とは?」を参考にしてください。
メスを入れる外科手術という選択肢もありますが、手術の場合痛みの出ている腱を一部切除してしまうものです。痛みの出ている組織を除去するため一定の効果が得られるとされていますが、ところがあまり良い成績は出ていません。さらに手術後も痛みが残ってしまったり、違和感が残ることがあります。また入院しなければならないためあまりお勧めしません。
また、治療実例をご覧になりたい方はこちらのページも参考にしてください。