治療実例
INSTANCE乳がん術後に4年間苦しんだ乳房切除後疼痛症候群PMPSの治療実例
女性 / 50代 / 在住 /
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
乳がんの手術をしたあとに、傷口周辺や前胸、脇の下や二の腕に痛みが出てしまう乳房切除後疼痛症候群(PMPS)という病気があります。
がんは手術で取りきれたものの、痛みが強く残ってしまって困ってしまう方も多くおられます。
ですが、最近になってこのPMPSに対して、手術によって生じてしまった異常な血管を消滅させることで痛みを改善させるカテーテル治療という方法が開発され、たくさんの人の痛みが改善しています。
今回紹介したいのは、4年間PMPSの痛みに苦しんできた50代の女性の患者さんです。
右乳房に癌が見つかり全摘出手術を受けました。その8か月後に、手術によってへこんでしまった部分に、自分の身体の他の部位から筋肉などの組織をあてる乳房再建術を受けました。
ところが、この再建手術を受けた直後から、胸の真ん中にある胸骨から右側に強い腫れと痛みを感じ、そこから腋の下にかけても強い痛みを自覚するようになりました。
病院にいったところ乳房切除後疼痛症候群(PMPS)と診断されたそうです。
クリニックで連日痛み止めの内服や抗うつ薬の内服をしましたが改善することはなく4年が経過しました。その後、インターネットで当院の治療を知り、受診されました。
治療時の所見FINDINGS
初診時の痛みは10段階中7の痛みであり、夜間に痛みを感じ、灼熱痛を認めていました。
また胸の谷間の右側に直径4㎝の硬い脂肪の塊を感じており、銛(もり)で撃たれたような痛みを感じると話してくださいました。
疼痛部位には圧痛(指で押すと痛い)を認めました。カテーテル治療時は疼痛部位をマーキングして治療を行っています。下記はカテーテル治療時の画像です。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療1か月後は痛みの程度は10段階で2まで軽減しました。治療後数日で夜間痛はなくなり、寝返りが打てるようになったと喜んでくださいました。また、胸の谷間右側の脂肪塊はカテーテル治療の翌日には急激に柔らかくなってきにならなくなったことを自覚しています。毎日飲んでいたロキソニンも手放せ、銛(もり)で打たれたような激しい痛みからも解放されましたとのこと。
現在はカテーテル治療薬1年が経過していますが痛みの症状の再発はなく、4年間苦しんだけど、思い切って治療を受け手良かったと笑顔で話してくださっています。
「カテーテル」と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、ここで紹介した「痛みのカテーテル治療」で用いるのは、とても細くて(直径0,6㎜)柔らかい素材なので、非常に安全性が高く、点滴のチューブを延長したものです。