奥野祐次先生のコラム
COLUMN- ホーム
- 奥野祐次先生のコラム
- 気圧が下がると、なぜ頭が痛くなるの?
気圧が下がると、なぜ頭が痛くなるの?
こんにちは。痛みの専門医、オクノクリニックの奥野祐次です。
今回は、よく患者さんから質問をいただく「気圧と痛みの関係」について、YouTubeでの解説をもとにコラム形式でお話ししたいと思います。天気が崩れる前に頭が痛くなったり、古傷が痛んだりするのはなぜなのか、そのメカニズムを紐解いていきましょう。
気圧が下がると、なぜ頭が痛くなるの?
天気が悪くなると頭痛がひどくなる、あるいは昔の怪我の古傷が痛む、といった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。 「気圧の変化で痛みが起きる」とよく言われますが、そもそも私たちの体の中で一体何が起きているのでしょうか。
1. 空気にも「重さ」がある
まず、気圧とは何かをイメージするために「水圧」を思い浮かべてみてください。深い海に行くと水圧が高くなり、体には強い圧力がかかりますよね。 実は私たちも、空気という海の中に住んでいて、常に空気の圧力(気圧)を受けています。普段は感じませんが、体に対して外側から「ぎゅっ」と押し込められるような力が常にかかっているのです。
2. 低気圧=体を押し込める力が弱まる
「高気圧」のときは、この押し込める力が強い状態です。逆に、天気が悪くなったり台風が来たりして「低気圧」になると、体を外側から押す力が弱まります。 ポテトチップスの袋を山の上などの高い場所(気圧が低い場所)に持っていくと、袋がパンパンに膨らむのを見たことがありませんか? これと同じ現象が人間の体でも起きます。外から押さえる力が弱まることで、体の中にある血管が拡張(膨張)してしまうのです。
3. 血管が広がると、神経を刺激する
では、なぜ血管が広がると痛むのでしょうか。 実は、血管のすぐ近くには必ず神経が通っています。 低気圧になって血管が拡張すると、その広がった血管が隣にある神経に触れたり影響を与えたりします。すると神経が過敏になり、痛み信号を「ポンポンポン」と出しやすくなってしまうのです。これが、気圧が下がった時に痛みが起きる基本的なメカニズムです。
4. 頭痛の正体は「頭皮」の血管?
これまで頭痛は「頭蓋骨の中」の問題だと信じられてきましたが、私たちの新しい知見では少し違う捉え方をしています。 頭痛の多くは、頭蓋骨の中ではなく、頭皮やその下の筋膜にある血管と神経が関与していると考えています。 気圧が下がって頭皮にかかる圧力が減ると、頭皮にある血管が拡張し、そばにある神経を刺激してしまうのです。これが天気による頭痛の正体だと考えられます。
5. 古傷が痛むのも同じ理由
昔、捻挫や怪我をした場所(古傷)が痛むのも同じ理由です。 古傷の部分には、治る過程でできた血管と神経が存在しています。普段は痛くなくても、低気圧になるとそこの血管が拡張し始め、隣の神経を刺激してしまうため、「なんとなく痛いな」と感じるようになるのです。
このように、気圧による痛みは「血管の拡張」と密接な関係があります。 もし、天気の変化による頭痛や古傷の痛みにお悩みであれば、痛みの原因となっている異常な血管(モヤモヤ血管)への治療が効果的な場合があります。特に片頭痛などには、血管からアプローチする治療がよく効くことも多いので、ぜひ知っておいていただければと思います。