奥野祐次先生のコラム

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COLUMN.85

なぜ肩こりはこんなに辛いのか?放置してはいけない本当の理由と根本治療

こんにちは。痛みの専門医、オクノクリニックの奥野祐次です。

病院へ行っても「ただの肩こりですね」「深刻な病気ではありませんよ」と軽く扱われてしまい、がっかりした経験はありませんか?

 

日本では、肩こりは女性の自覚症状の1位、男性でも腰痛に次いで2位という国民病です。しかし、決して軽く見ていいものではありません。痛くてパソコン作業が30分も続けられない、頭痛や吐き気、めまい、腕のしびれを伴うなど、仕事や日常生活に大きな支障をきたしている方がたくさんいらっしゃいます。

最近では、出社しているのに不調で仕事のパフォーマンスが上がらない「プレゼンティズム」の3大要因の一つとしても、肩こりが挙げられています。

 

今回は、なぜ肩こりがこれほどまでに辛い症状を引き起こすのか、そのメカニズムについてお話しします。

 

常に重労働を強いられている「僧帽筋」

 

肩こりの主な舞台となるのは、首から肩、背中にかけて広がる「僧帽筋(そうぼうきん)」という大きな筋肉です。僧帽筋という名前は、キリスト教の僧侶がかぶるフード(頭巾)のひし形に似ていることから名付けられました。

実はこの筋肉、私たちが起きている間、常にすさまじい重労働をしています。

人間は二足歩行になったことで、非常に重い「頭蓋骨(頭)」を首や背中の筋肉だけで支えなければならなくなりました。さらに、他の動物に比べて人間の「腕(手)」は長く、重みがあります。

長時間のデスクワークやスマホ操作で頭を前に突き出すような姿勢を続けたり、マウスやキーボードで手を酷使したりすると、この僧帽筋の付け根には多大な負担がかかります。また、歯科医師や美容師など、腕を上げたままキープする職業の方も、さらに大きな負担がかかっています。

 

 「凝り」が「パンパンの硬さ」や「痛み」に変わる理由

 

筋肉への過度な負担が続くと、筋肉の内部で「炎症」が起きます。体は、負担がかかった部位を修復しようとして、そこに新たな血管を作ります。これが、慢性的な痛みの原因となる「異常な血管(モヤモヤ血管)」です。

人間の体には「血管が増える場所には、神経も一緒に増える」というルールがあるため、モヤモヤ血管の周りには余計な神経がこびりつくように増殖してしまいます。

さらに厄介なことに、この異常な血管は作りがもろく、周囲に水分を漏らしてしまいます。筋肉は閉ざされた袋のような構造をしているため、中に水分が漏れ出すと内圧が高まり、筋肉がパンパンに硬く腫れ上がってしまうのです。

こうして、増えた神経が過敏に痛みを発し、内圧の上昇によって筋肉がカチカチになることで、単なる「張り」だったものが、辛い「痛み」や「硬いしこり」へと悪化していきます。

 

なぜ頭痛や吐き気、めまいまで起こるのか?

 肩こりが悪化すると、頭痛や吐き気に悩まされる方が多いのにも、明確な理由があります。

僧帽筋の炎症は、首の後ろから後頭部にかけての筋肉にも波及します。さらに首の奥には、脳への血流を調整している「椎骨動脈(ついこつどうみゃく)」という重要な血管が通っています。首周りの筋肉に激しい炎症が起きると、この動脈の血流調整がうまく機能しなくなり、結果として脳の血流に影響を及ぼし、頭痛やめまい、吐き気といった深刻な症状を引き起こしてしまうのです。

 

わずか数分で終わる肩こりの動注治療

 仕事や生活習慣を変えるのが難しい中、できてしまった異常な血管(炎症)を自力で減らすのは困難です。そこで当院では、痛みの根本原因である「モヤモヤ血管」だけを標的にして減らす、新しい治療法を行っています。

 

肩こりに対しては、極細の針を使って肩周辺の血管に直接お薬を届ける「動注治療」を行っています。治療時間はわずか2〜3分程度で、異常な血管の血流を遮断することで炎症を鎮めます。治療直後から肩の重さがフッと軽くなるのを感じる方も多く、2〜3年といった長いスパンで「以前よりもはるかに楽な状態」を維持できることがわかっています。

 

「肩こりくらいで病院に行くなんて…」と我慢する必要はありません。仕事のパフォーマンスを落とし、生活の質を下げてしまう辛い肩こりには、必ず原因があります。マッサージや湿布で改善しない慢性的な肩こりにお悩みの方は、ぜひ一度、当院へご相談ください。

 

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