奥野祐次先生のコラム

COLUMN
COLUMN.31

五十肩の痛みの原因 腱板疎部(けんばんそぶ)

最近まで五十肩は原因がはっきりしていませんでした。

五十肩の患者さんにレントゲンやMRIをしても多くの場合は異常が見えません

このため理解が遅れてきました。

 

最近になってPETという検査が、この状況を打破してくれました。

PETとは「がんを探す」ために使われる検査です。

なぜ「がん」と五十肩が関係するのでしょうか?

上の写真を見てください。

これは五十肩の患者さんのPETの写真です。

右肩に比べて左肩に黒い部分があるのがわかると思います。

これはPETのブドウ糖が集まっているところです。

PET検査は、ブドウ糖の集まりを観察します。

ブドウ糖は、がんに取り込まれる性質があるため、それでがんが発見できます。

ところが同時にブドウ糖は「炎症」の組織にもたくさん取り込まれることが知られています。

このためPET検査は、がんだけでなく炎症を見ることもできるのです。

 

さて、このPETの写真は韓国の研究グループが撮影したものです。

彼らは五十肩の患者さんを22人集めてきて、PET検査をしました。

そうすると、そのうちの20人で「腱板疎部(けんばんそぶ)」と呼ばれる場所に

ブドウ糖の取り込みが見られたのです。

腱板疎部(けんばんそぶ)というのは、聞きなれない名前ですよね。

これは肩関節の前の方にあります。

ちょうど上のイラストの赤でしるしをつけた部分が、腱板疎部です。

そして五十肩の患者さんの9割は、この腱板疎部に炎症が起きています。

 

ですから、ここの炎症をとってあげれば、五十肩の痛みは劇的に改善します。

このサイトをいつもご覧になっている方は、この場所に何が増えているか、もうお分かりですね。

 

そうです。この場所には「不要な血管」が増えています。

不要な血管が増えることによって、この場所には炎症が起きてしまい、そして疼痛が生じてしまうのです。

下の写真は、私が2014年の4月にアメリカの肩関節の専門雑誌に載せた論文の写真です。

正常な肩の血管と、五十肩の患者さんの肩の血管を並べてあります。

 

左側の正常な肩の血管に比べると、右側の五十肩の血管では、赤でしるしをつけた場所に血管が増えているのがわかると思います。

ここが五十肩の痛みの原因です!!

この炎症をとる方法は2つ。血管を減らす注射か、あるいは運動器カテーテル治療

 

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