奥野祐次先生のコラム
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結帯動作って知っていますか?
着物の帯を後ろでむすぶ動作を結帯動作といいます。
自分の腕を体の後ろにもっていく動作ですね。
これは帯を結ぶだけでなく、ブラジャーを付けたり、お手洗いでお尻を拭く動作も同じ動きです。
この動作をするには肩の関節が「内旋」といって内側に回旋する動きが必要です。
そして、このような動きのときに、肩の痛みを強く訴える人がいます。
一般には「五十肩」と呼ばれます。
このような「内旋」のときの痛みをもつ患者さんは、どの部分が痛みの原因になっているのでしょうか?
これは肩の専門の先生でも意見が分かれています。
私は、カテーテルをつかって血管を観察してきました。
その経験からして、この「内旋」のときの痛みがでている患者さんのほとんどは
「腱板疎部(けんばんそぶ)」という場所で異常な血管が増えていることがわかりました。
上の写真は、腕を上げることや外に回すことはできる、でも「内旋」だけが痛くてできないという症状で来られた患者さんの右肩の血管撮影です。
ご覧頂いてわかるかもしれませんが、一部分だけ血管が増えています。
上の写真は治療したあとの写真です。
治療前の⇒をつけた場所のモヤモヤとした血管が減っていることがわかります。
このモヤモヤのあった場所、
この場所が「腱板疎部」と呼ばれる場所です。
そしてここを治療すると、五十肩の人も途端に腕を後ろに回せるようになります。
実際には、この方の場合は1年間痛みがあったため、関節の包が固くなっています。このためすぐに完全(フル)に動くようになるわけではないですが、痛みが大幅に減少するため、治療の後2ヶ月ほどの期間のうちに「どんどん」動かせるようになってきました。
実はこの「腱板疎部」という場所は、「内旋」の痛みに限らず、四十肩、五十肩の慢性的な痛みの患者さんの、
ひじょーーーに多くの患者さんに共通して見られる原因部位です。
肩の専門の先生は、当然この場所に注目していましたが、
それ以上に、「腱板(けんばん)」という場所や「肩峰下滑液包(SAB)」という場所にスポットを当てていました。
そのため、「腱板疎部」が痛みの原因になっている患者さん(実は相当数います)に有効な治療が提供されて来なかった経緯があります。
カテーテルで全体を把握すると、「腱板疎部」が四十肩、五十肩の痛みの原因部位として非常に重要であることが浮かび上がってきます。
これは私だけが提唱しているわけでは当然なく、いろいろな人がこの場所の重要性を報告してきています。
詳しく知りたい方は、このコラムの「論文紹介」のところにまとめてある「腱板疎部の重要性についての論文」をご参照ください。
また五十肩の夜間痛もこの場所に増えてしまう異常血管が原因になっています。
こちらはシリーズ「夜間痛について」をご覧下さい。