奥野祐次先生のコラム

COLUMN
COLUMN.55

ひざの人工関節を入れた後の痛み

ひざの人工関節をせっかく入れてもらったのに・・・痛い。

手術のあとに生じている痛みを「遺残疼痛(いざんとうつう)」といいます。
遺残疼痛の国際的な定義は「手術のあとに生じている痛みで、少なくとも組織損傷の治癒が終了したと考えられる3ヶ月間を超えて存在する痛み」とされています。人工関節の手術後に、どれくらいの人が遺残疼痛に苦しんでいるのか?

日本での本格的な調査は行われていません。これは、Under-acknowledging problemの一種(つまり顕在化せず埋もれている問題)とされています。この問題にもっとも「きちんと」調査したイギリスの研究を紹介しましょう。

イギリスのブリストルにある運動器研究センターのワイルド医師らは、ひざの人工関節の手術を受けた患者632名と股関節の人工関節の手術を受けた患者662名を調査しました。対象患者全員が手術してから3年から4年が経過していました。
ひざの人工関節の手術(TKA)を受けた人の44%、股関節の人工関節の手術(THA)を受けた人の27%に術後3から4年の時点で「遺残疼痛」を認めました。「Severe pain 重度の痛みがある」と答えたのは人工膝関節(TKA)を受けた人の15%、THAを受けた人の6%でした。これらの痛みの性質を調べたところAching(うずくようにズキズキと痛み)と答えた人が最も多かったと報告しています(40%超)。

私たちは、カテーテル治療をする際に、痛みの性質を尋ねるようにしていますがこの「Aching (ズキズキ)」という痛み方は、不要なモヤモヤ血管から生じる痛みの特徴としてとらえて報告しています。

上の写真は、やはり人工膝関節の手術をした後に遺残疼痛を持っていた患者さんの血管撮影の写真です。ひざの内側の部分に不要なモヤモヤ血管がたくさんできていることがわかります。
人工関節の置換術後の疼痛は「不明な痛み」とされることがありますがこのようにモヤモヤ血管に着目してみると、痛みの原因が一目瞭然です。
下に治療後の写真を載せておきます。

人工関節を入れたのに痛い・・・という人もあきらめないでください!!

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