奥野祐次先生のコラム
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痛みは エコーで見える?見えない?
みなさんはエコーという機械をご存知ですか?
エコーというのは超音波を使って身体の内部を白黒の画像に表示する機械です。
主に検査の目的で使われます。
みなさんの中にもお腹のエコー検査や、心臓のエコー検査を経験した人もいるかもしれません。
暗い部屋で検査します。
こんな写真が撮れます↓
さきほど「白黒」の画像と言いましたが、上の写真には色がついている部分があると思います。
これは「カラードップラ機能」と呼ばれるものです。
カラードップラは、「動いている液体」に色をつける機能です。
身体の中で動いている液体といえば「血液」です。
血液はたえず血管の中を流れています。
ですからカラードップラは「血管」を見ているとも言えるのです。
「血管が痛みの原因だ!」という私ですから、
当然、普段の診察でエコーを使っています。
エコーを使うと下の写真のように、痛みのある場所に異常な血管を見つけることができます。
※下の写真は「テニス肘」の患者さんのエコー写真
左側が痛い方の肘で、右側が痛くない方の肘
上の写真のように痛いところに色が見えることもありますが
必ずしも見えるとは限りません。
見えなくても痛い人がいます。
なぜでしょうか?
実は、痛みを発生させているのは、30μm(マイクロメートル)~70μmという、
すごく細い血管だと考えられています。
30マイクロメートルとは、1mmの「百分の3」です。
とても細いことがわかると思います。
痛みがあるところを顕微鏡で観察すると
このような細い血管が異常に増えており、
そしてその血管の周りに痛みを感じる神経線維が増えていることがわかっています。(詳しく知りたい人はコラムの「論文紹介」のページを参照してください)
運動器カテーテル治療で標的にしているのも、このような細い血管です。
運動器カテーテル治療では、このような「非常に細い血管」の異常な流れを遮断することで痛みが改善します。
ですからエコーで異常な血管が見えないからといって、その痛みが「血管とは関係ない」とは言い切れないのです。
実際にエコーで異常がなくても、カテーテルの治療をしてうまく痛みがとれる人がたくさんいます。
では、エコーでは見えないことがあるのだとしたら、いったいどうやって判断すればいいのでしょうか?
答えは「圧痛」です。
詳しくはコラム「圧痛と異常な血管の不思議な関係」を参照してください。