奥野祐次先生のコラム

COLUMN
COLUMN.21

「新種」の毛細血管

毛細血管には、いくつか種類があるのをご存知ですか?

 

血管には「動脈」と「静脈」と「毛細血管」という3つの種類があるというのは、すでにご存じの方も多いかもしれません。

しかし、この「毛細血管」の中にもいくつか種類があるということは、医学生やお医者さんでも知らない人が多いです。

 

このコラムでも「異常な血管」とか「不要な血管」と書いてきました。これも毛細血管の種類になります。読んでくださっている方は、毛細血管にも正常なものと異常なものがあるのだな~という印象をお持ちの方も多いかもしれません。

 

私は研究時代に不要な血管(専門的に言うと『病的血管』)がなぜできてしまうのかを研究していました。

そしてこの病的な血管の周りに増えた神経が痛みの原因になっているというのが最近の有力な仮説です。
このコラムの中でも繰り返し紹介してきました。

 

さて、今回紹介するのは、最近新しく発見された「新種」の毛細血管

ズバリ、骨を作る毛細血管です!

上の写真は何やらカラフルですが、これは顕微鏡写真になります。

骨の中を観察しています。

 

骨の中には「骨芽細胞」という骨の素(もと)になる細胞があります。
この写真では緑色をしているのが骨芽細胞です。

 

そして赤色の部分に注目してください。これが最近発見された「新種」の毛細血管で
H型血管内皮細胞というものです。

名前は覚えなくていいとしても、毛細血管に新たなグループがあることがわかりました。

この毛細血管は、骨の素になる骨芽細胞を周りに集めます。また骨芽細胞が増えるのを手伝います。

このため、写真のように、赤色の毛細血管の周りに緑の細胞がたくさんできているのです。

高齢になると、このような「骨を作る」毛細血管が減ってくることもわかっています。

新たな骨粗しょう症の治療にもつながるかもしれません。

 

また、本来できるはずがないところに骨ができてしまうことがあり、これを「異所性石灰化」と呼びます。

肩の腱板と呼ばれるスジの中に石灰がたまってしまうような場合です(結構痛い)。

 

その原因もこの「骨を作る毛細血管」が関与しているかもしれません。

これからは、単に「毛細血管」とひとくくりにするのでなく、「~型の毛細血管」などと区別して呼ぶようになるかもしれません。

特に「痛みに関連する毛細血管」についての研究がこれからもっと進んでいかなくてはなりません。

 

以上、「新種」の毛細血管でした!

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