奥野祐次先生のコラム

COLUMN
COLUMN.23

血管を減らす治療法 ~ステロイド、高圧酸素、PRP~

長引く痛みの原因として、大きな部分を占めるのが不要な血管です。

そして不要な血管を減らすことで痛みが改善します。
不要な血管を減らしてあげると、患者さんの痛みは劇的に改善する、というのが私の印象です

血管を減らす方法で最も手っ取り早いのが、「運動器カテーテル治療」です。

 

しかし、不要な血管を減らすのは、何もカテーテル治療だけではありません。

 

カテーテル治療以外に目を向けてみますと、
筆頭に挙がるのが、ステロイド注射治療です。

 

ステロイドという薬は副作用もあることが知られているので、敬遠されがちですが

 

少量を上手に使ってあげると、非常によく効きます。

ステロイドには血管を減らす効果がある(専門的には、血管退縮効果がある)というのは、よく知られていることです。

 

※ただし、ステロイドの場合は正常な血管も減少させてしまうので、何度も繰り返し使うことはあまり好ましくありません。

 

さて、ほかにも世の中には「痛みに効く」とされている治療法があります。

そのうちの一つが、高圧酸素療法です。

この治療は今まではっきりしたメカニズムの説明はありませんでした。

なんとなく「より高濃度の酸素がいきわたることで、何らかの組織の「回復」が生じて、それが痛みを改善させる」

そんな風に説明されてきました。

 

ところが、血管の研究をしている人は非常によく知っていることなのですが

実は、血中の酸素濃度を上げてあげると、不要な血管が減るのです。

これは血管生物学という分野の多くの研究者によってすでに観察されてきました。

 

実は、血管の内側にある「内皮細胞」という細胞は、常日頃から高濃度の酸素に暴露されています(酸素化された動脈血に触れている)。

酸素というのはもろ刃の剣で、エネルギー代謝に必須ですが、同時に活性酸素が生じて組織を傷つけることは有名です。

 

酸素の血中濃度が高くなりすぎると、血管は、真っ先にダメージをくらいます。

 

特に、私が「不要な血管」と呼んでいる血管は、新しくできたばかりの血管で、このような「高濃度の酸素暴露」に弱いです。

実際、血管生物学の動物実験では、マウスを高濃度の酸素の部屋に3日間入れてあげることで、新しくできた血管が、なくなって(消退していく)いきます。

 

高圧酸素療法で痛みに改善があるのは、このことが関係しているのではないかと私は考えています。

つぎにPRP療法です。これは知らない人も多いかも知れません。

これについては、また次の機会に書きます!

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