奥野祐次先生のコラム
COLUMN- ホーム
- 奥野祐次先生のコラム
- 男の尊厳シリーズ第3弾 2人目ができない?男性不妊の最大の原因「精索静脈瘤」と切らないカテーテル治療
男の尊厳シリーズ第3弾 2人目ができない?男性不妊の最大の原因「精索静脈瘤」と切らないカテーテル治療
こんにちは。痛みの専門医、オクノクリニックの奥野祐次です。
今回は「男の尊厳シリーズ」第3弾として、お一人目のお子さんは生まれたけれど「2人目がなかなかできない」とお悩みの方にぜひ知っていただきたい、「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」という病気についてお話しします。
精子が作られる環境と「精索静脈瘤」のメカニズム
男性の精巣(睾丸)は体の外にありますが、これは精子を作るために体温より1〜2度低い温度を保つ必要があるためです。女性の卵子とは異なり、精子は思春期以降、日々絶えず作られ続けます。そのため、精巣へ新鮮な酸素を運び、老廃物を回収するための「血液の循環」が非常に重要になります。
しかし、全男性の約15%において、精巣から心臓へ戻る静脈の「弁」が壊れ、老廃物を含んだ血液が逆流して溜まってしまう(うっ滞する)ことがあります。これが「精索静脈瘤」です。
密かに進行する「二人目不妊」
血液がうっ滞すると精巣の環境が悪化し、35歳を境に精子を作る能力が著しく落ちてしまうことがあります。実は、1人目はできたのに2人目ができない「二人目不妊(二次性不妊)」において、男性側の原因の7〜8割がこの精索静脈瘤だと言われています。
精子の数が減ったり、運動率が落ちたり、遺伝子が断片化してしまうなど、密かに精子の機能低下が進行していくのが特徴です。
【症例】陰嚢の重苦しい痛みと、不妊への不安
この病気は無症状のことも多いですが、進行すると左側の陰嚢が腫れたり、重苦しい痛みを生じることがあります。当院にご相談に来られた30代のシステムエンジニアの男性も、その一人でした。長時間のデスクワーク中、左側の陰嚢に「誰かに強く握られているような」ズーンとした重苦しい痛みを感じていたそうです。
また、お腹側から逆流した温かい血液が溜まることで、陰嚢に熱っぽさや灼熱感を感じることもあり、仕事の集中力を奪われていました。さらに、ご自身で調べて「精索静脈瘤が男性不妊の原因の約4割を占める」と知り、「自分は子どもを作れない体かもしれない」と将来への大きな不安を抱えて当院を受診されました。
日帰りでできる「切らないカテーテル治療」
これまで精索静脈瘤の治療といえば、足の付け根をメスで切開し、顕微鏡を見ながら原因の静脈を糸で縛る手術が一般的でした。しかし、体への負担があるだけでなく、細かい血管を縛りきれずに再発してしまうリスクもありました。そこで当院では、メスを使わない「カテーテル治療」を行っています。腕や足の付け根から0.6mmほどの極細の柔らかいチューブを血管内に入れ、逆流している血管の内側から直接コイルや医療用接着剤でフタをする治療です。
先ほどの30代の男性もこの治療を受け、1週間後には重苦しさが和らぎ、3ヶ月後には運動も再開できるまでに回復されました。痛みから解放されただけでなく、不妊への不安も解消され、パートナーと前向きに将来のお話ができるようになったと喜ばれていました。
当院のカテーテル治療には、以下のような大きなメリットがあります。
日帰りで可能:局所麻酔で行い、点滴のような小さな傷で済むため体への負担が少ないです。
成功率が高い:細かな血管のやり残しが少なく、再発のリスクを抑えられます。
健康保険適用:本治療は保険診療の対象となっています。
一人で悩まず、ご相談ください。カテーテル治療を受けることで、約6〜8割の患者さんで精子の機能が改善するという報告があります。
「2人目がなかなかできない」「左の睾丸が少し腫れている気がする」「陰嚢に重だるい痛みや違和感がある」とお悩みの方は、大げさだと思わずに、そして決して諦めずに、ぜひ一度当院へご相談ください。
切らないカテーテル治療という選択肢で、原因不明の不快感や将来への不安を取り除くお手伝いができるかもしれません。