奥野祐次先生のコラム

COLUMN
COLUMN.81

男性の尊厳を守る、前立腺肥大の「切らない」最新治療(PAE)について

こんにちは。痛みの専門医である奥野祐次です。

今回は「前立腺肥大症」に対する最新治療について解説をしたいと思います。

代表的な治療として、尿道からメスを入れる従来の手術(TURP)と、私がおすすめしている「前立腺肥大のカテーテル治療(PAE)」の2つがあります。今回のコラムではそれぞれの特徴と違いを、患者さん向けにわかりやすくご紹介します。

 


前立腺肥大症とは?

 

前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように位置している男性特有の臓器です。若い頃はクルミほどの大きさですが、50代頃から加齢とともに大きくなり、尿の通り道である尿道を圧迫してしまうことがあります。これがいわゆる「前立腺肥大症」です。

この状態になると、以下のような辛い症状が現れます。

  • おしっこに行きたいのにちょろちょろとしか出ない
  • 夜中に何度もトイレに起きるため睡眠が十分にとれない

男性にとって、おしっこが勢いよく出ることは健康感の指標の一つであり、これが失われることは男性としての「尊厳」に関わる大きな悩みとなります。

 


従来の手術(TURP)とその落とし穴

 

お薬での治療で限界が来た場合、日本では「TURP(経尿道的前立腺切除術)」という手術が行われるのが一般的です。尿道から金属の筒を入れ、電気メスで肥大した前立腺を内側から削り取って尿道を広げる方法です。

尿道が太く復活するため、術後はおしっこが勢いよく出るようになりますが、この治療には2つの大きな問題点があります。

 

① 出血による入院が必要

前立腺を削り取るため、当然出血を伴います。出血を止めるために、術後1週間ほどは太い尿道カテーテル(バルーン)を留置したまま入院しなければなりません。

 

② 「逆行性射精」による性機能の喪失

実はこちらの方が大きな問題です。TURPを行った後、ほぼ確実に「逆行性射精(ドライオーガズム)」という副作用が起きます。手術で前立腺を削る際、膀胱の出口にあって逆流を防ぐ役割をする「括約筋」の機能も失われてしまうため、射精時に精液が外に出ず、膀胱側へ逆流してしまうのです。

60代〜80代でも性的にアクティブな方はいらっしゃいますが、この副作用によって満足感が大きく下がり、男性としてのもう一つの「尊厳」を失うことになってしまいます。

 


前立腺肥大のカテーテル治療(PAE)とは?

 

こうしたデメリットを克服する治療として、現在アメリカやヨーロッパで主流になりつつあるのが、「PAE(前立腺動脈塞栓術)」と呼ばれるカテーテル治療です。

PAEは、太ももの付け根から0.6mmという極細のカテーテルを血管の中に入れ、前立腺に栄養を運んでいる動脈(前立腺動脈)まで進めます。そこから微小な粒子を流して血流を遮断することで、肥大した前立腺全体に向け時間をかけて小さく萎縮させる治療です。

治療後1〜2週間ほどは一時的な頻尿などが出ることがありますが、2週間後から1ヶ月後にかけて前立腺が徐々に小さくなり、おしっこの出が良くなっていきます。

 


前立腺肥大のカテーテル治療(PAE)のメリット

 

✅ 性機能(射精機能)の温存

前立腺を中から削るわけではないため、膀胱の括約筋が温存されます。そのため、逆行性射精が起きず、治療後も正常な射精が可能です。

✅ 日帰りで治療可能

局所麻酔で行うため痛みや出血のリスクも少なく、入院の必要がありません。1〜2時間ほどの治療で、ご自宅に帰っていただけます。

 


まとめ

比較項目 従来手術(TURP) カテーテル治療(PAE)
入院の有無 約1週間の入院 日帰り
麻酔 全身麻酔 局所麻酔
性機能への影響 逆行性射精(ほぼ確実) 影響なし
メス・切開 あり なし(切らない)

 

前立腺肥大症の治療は、ただ尿を出やすくするだけでなく、男性としての「尊厳」を守ることも重要です。「おしっこの勢いを取り戻す」ことと「性機能の維持」という2つの尊厳ポイントを両立できるのが、切らないカテーテル治療であるPAEです。

日本において当院は、このPAE治療をいち早く導入し、豊富な経験を持っています。「手術には抵抗がある」「術後の副作用が怖い」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

※本治療は自費診療となります。

ページ上部へ
電話初診ご予約
受付10:00〜17:00
(土日祝除く)
メール事前相談
お問い合わせ
WEB予約はこちら