治療実例
INSTANCE手術しかないとされた疲労骨折(Johns骨折)のカテーテル治療実例
男性 / 40代 / 東京都在住 /
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
今回紹介したいのは、疲労骨折がなかなか治らずに骨がくっつかなくなった(癒合不全)となり痛みが続いていた方へのカテーテル治療の症例です。
40歳の男性の方で、比較的大柄な体格です。半年前に右足首を捻挫して非常に腫れましたが、仕事でどうしても休めないため、骨折とは思わずに放置して整骨院などに通っていたそうです。痛みが引かないため半年経過してから整形外科を受診しレントゲンを撮影したところ、骨折していたことが判明しました。しかも骨がくっつきにくい状態になっている(骨癒合不全)と診断されました。(レントゲンは下の写真)
このレントゲンの矢印の部位は、第5中足骨疲労骨折といい、一部では癒合不全になりやすいことがしられています。一般的な治療は手術をすることですが、入院をしたくない、仕事の関係上、どうしてもギブス固定などできない、ということで、今から4年以上前に私たちのところを受診されました。
治療時の所見FINDINGS
診察時、右足の甲の外側に明らかな腫れが残っており、疲労骨折の部位に圧痛が有りました。
骨折部は骨融合を認めないまま離開しており、いわゆる偽関節という状態でした。
偽関節部には滑膜組織が浸潤(入り込んでいる)ことが知られており、炎症が長引いていることで骨癒合が遅れていると判断しました。疲労骨折や偽関節では、長引いている炎症の直接的な原因となっているモヤモヤ血管を標的にしたカテーテル治療をすることで、入院やギブス固定をすることなく治療できることを経験していましたので、それをご提案したところ、カテーテル治療を行うこととなりました。
カテーテル治療の際は、第5中足骨基部を栄養している、外側足根動脈に対して治療を行いました。
血管撮影を行ったところ、圧痛がある場所にモヤモヤ血管が存在していました。
治療後の血管撮影では異常なモヤモヤ血管が消失していることが確認できました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療後よりすぐ骨折部の痛みが10→1or2に改善しました。まだ荷重時に痛みがあるとのことでしたがそのまま様子を見ていただいたところ、1か月半後には痛みは完全に消失していました。
術後はギプス固定など必要とせず、荷重制限も行いませんでした。レントゲンをその後も撮影してみると、治療3週後には化骨形成を認め、12週後には骨融合を認めました。
治療後2年間のフォローを行いましたが、疼痛が再燃することもなく、またレントゲン上でも正常に近い状態までに回復していました。現在も痛みなく普段通りの生活を送っておられます。
疲労骨折や偽関節、骨折の癒合不全では、遷延している骨折部に異常な血管が長く居座っており、痛みや骨折治癒遅延の原因になっている可能性があります。
ぜひお困りの方は私たちの治療も選択肢としてご検討ください。