治療実例
INSTANCE20代男性 腸脛靭帯炎の治療症例
男性 / 20代 / 在住 / プロサッカー選手
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
今回紹介したいのは腸脛靭帯炎に悩んでいた20歳のプロサッカー選手です。10か月ほど前から腸脛靭帯炎となりチームドクターの紹介でカテーテル治療を受けられました。ポジションはディフェンダーで練習には参加するものの痛みのためにフルにはトレーニングを積めないという状態でした。この方は運動器カテーテル治療により痛みが改善し、現在は治療から4年が経過していますが、現在も調子が良く、支障なくプレーしています。どのような状態だったのでしょうか?
当時の患部のMRIからは、腸脛靭帯直下にある大腿骨外側上顆周辺に、炎症を検知できる撮影方法(脂肪抑制T2画像)で高信号エリアがあり(下の写真の赤丸)、滑膜炎が生じていたことがわかります。腸脛靭帯炎では、腸脛靭帯そのものは影響を受けていなく、この方のようにその直下の滑膜組織に炎症が生じていることがほとんどです。
この方は、私たちの治療を受けるまでに2回のヒアルロン酸注射、1回のステロイド注射、2回のPRP注射を受けるも改善しなかったようです。
治療時の所見FINDINGS
治療時の血管撮影像では、先ほどのMRIでの炎症が診られたのと同じ部位にモヤモヤ血管の増殖を認めます。この部位を治療する際に普段の痛みが再現されており、原因部位であることがわかりました。
患部の上からと下の方からとの2本の血管から治療して終えています。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療後すぐの時は、まだ痛みが残るものの以前よりは軽いという状態が2週間ほど続きました。
2週間後のタイミングで症状は明らかに軽くなっていたものの、少し残存していたため、極めて少量のステロイド注射を滑膜組織に加えたところ、患部の痛みは完全に消失し、当日から全く支障なくプレーできるようになっています。
その後は4年経過しますが一切再発することなく良い状態でプレーできています。
このようにカテーテル治療後には根本的な炎症の度合いが低下するため、以前受けても効果がなかったステロイド注射が効くようになることもよく経験します。カテーテル治療と注射を合わせてコンビネーションで治療していくことも多いです。
単に注射だけだとぶり返しますが、このように合わせていくことで再発することなく治療ができた症例でした。