治療実例
INSTANCE介護の負担で長引く両膝の痛み(変形性膝関節症)に、膝のカテーテル治療が有効だった症例
女性 / 60代 / 埼玉在住 / 主婦
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
今回ご紹介するのは、ご自宅でお母様の介護をされている女性の症例です。2年前から両膝の内側に痛みが徐々に出て、とくに右膝の痛みを強く感じておられました。
毎日の介護において、ベッドから車椅子への移乗を1日に4回行っており、膝に大きな負担がかかっていたそうです。
階段の昇り降りも辛く、特に降りる時は手すりを使い、一段ずつでないと難しい状態でした。
また、夜間に痛みの波が出たり、右膝が軽くむくんだりすることもありました。
近くの整形外科を受診したものの「そこまで重症ではない」と言われ、ヒアルロン酸注射や電気治療、マッサージなどを受けていましたが、かえって痛みが増すように感じられ、介護をする生活の中で自分の膝が悪くなってしまったらどうしようと不安になったそうです。何かほかに方法はないかとネット検索していたところ当院を見つけ来院されました。
治療時の所見FINDINGS
当院での初診時に超音波(エコー)検査を行ったところ、両膝の変形自体は軽度だったものの、膝の内側周囲に「モヤモヤ血管」(痛みの原因となる異常な新生毛細血管)を示す強い血流信号が確認されました。また、半月板が本来の位置からずれる「逸脱」の傾向も見られました。
これまでのマッサージや電気治療で痛みが増強してしまったのも、このモヤモヤ血管による炎症が刺激されたためと考えられます。MRI検査で膝内部の状態を詳しく評価したうえで、痛みの原因であるモヤモヤ血管を減らす膝のカテーテル治療が適応であると判断しまし提案しました。
カテーテル治療とは、非常に柔らかく細いチューブ(カテーテル)を動脈から挿入し、痛みの原因となっている異常な血管のすぐ近くまでたどり着かせて行う治療です。患部のすぐ近くから、異常な血管だけを減らすお薬を直接流し込むことができるため、根本的な痛みの改善と高い効果が期待できます。切らないため体への負担が少なく1時間ほどお休みした後帰宅できる日帰り治療です。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療を実施した後、辛かった階段の上り下りが楽になり、とくに階段を降りる動作がスムーズになったとご実感いただきました。
その後、連休中に自転車に乗るなど少し無理な動作をしたことで、一時的に右膝に「もわっと重だるい」痛みが再燃したため、外来にて右膝への動注治療を追加で行いました。
これは局所麻酔を使用し、うつ伏せの状態で膝の裏から薬剤を投与する1〜2分程度の短い処置です。
現在は痛みの波を許容しながらも、2〜3ヶ月での安定化を見込んで経過を観察しています。また、理学療法(リハビリ)を併用しつつ、ご自宅でできるセルフケア(圧痛点への軽い圧迫)や、抗炎症作用のある食事(青魚やえごま油、オリーブオイルなどのオメガ3脂肪酸)を取り入れていただき、順調に回復に向かわれています。
更年期以降の女性はホルモンの低下によっても異常血管ができやすいため、こうした多角的なアプローチでサポートしています。
レントゲンで「変形が軽度」と言われても、日常生活や介護の負担によってモヤモヤ血管が増生し、強い痛みが長引くケースは少なくありません。
なかなか改善しない膝の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度カテーテル治療や動注治療といった選択肢を検討することをおすすめします。



