治療実例
INSTANCE睡眠を奪う夜間頻尿と手術への不安。性機能を温存できる前立腺肥大のカテーテル治療(PAE)で生活の質を取り戻した男性の症例
男性 / 70代 / 神戸在住 /
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
前立腺肥大症は、加齢とともに前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することで排尿障害を引き起こす病気です。
今回ご紹介するのは、著明な前立腺肥大による重度の夜間頻尿でお悩みだった日本に在住する海外の方の症例です。
この方はこれまで薬物療法によって前立腺の体積を抑えようと試みてきましたが、約60mLから徐々に増大し、最近では前立腺の体積が150mLにまで達していました(かなり大きな状態)。
就寝前に排尿しても3〜4時間後には覚醒してしまい、その後は2時間、1時間、30分とトイレの間隔が短縮。朝方には睡眠が著しく妨げられ、「一晩中連続して眠りたい」と切実に願うほど、生活の質が大きく低下していました。
米国の医療機関でも治療を検討しましたが、申請手続きに時間がかかり、従来の手術(TURPなど)を勧められました。しかし、従来の手術は尿道から電気メス等を入れて前立腺を内側から削るため、術後に「逆行性射精(ドライオーガズム)」や尿失禁が生じるリスクが非常に高いというデメリットがあります。
実際に手術を受けた他の方の声としても、「術後に出血を洗い流すため太いバルーンカテーテルを長期間入れられ、座るたびに前立腺の奥がズキッと痛んで本当につらかった」といった術後の強い痛みや不快感に悩まされるケースが少なくありません。
手術や術後の合併症に強い不安を感じていたところ、日本人の奥様がネット検索で当院の「切らない前立腺肥大のカテーテル治療(PAE)」をお知りになり、ご相談をいただいたのが来院のきっかけです。
治療時の所見FINDINGS
ご持参いただいたMRI画像などを確認したところ、前立腺体積は150cc以上と著明に肥大していました。
当院では前立腺肥大に対するPAE(前立腺動脈塞栓術)を行なっています。PAEは、前立腺を必要以上に成長させている動脈の血流をピンポイントで抑え、時間をかけて前立腺全体を少しずつ小さく萎縮させる治療です。
モヤモヤ血管の治療と同様に、太ももの付け根(鼠径部)から極細のカテーテルを入れる局所麻酔の低侵襲治療であり、入院不要で日帰りでの治療が可能です。そして最大の魅力は、尿道や前立腺を中から削らないため、射精の際の逆流を防ぐ内尿道括約筋が温存され、逆行性射精のリスクが実質0%と、性機能を維持したまま治療ができる点にあります。
治療は海外の専門医とも連携しながら東京表参道院で行われました。右の鼠径部から極細のカテーテルを挿入し、肥大した前立腺を栄養する動脈へ的確に薬剤を注入して血流を抑えました。傷跡は針の跡だけで日帰りで行える低侵襲治療です。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
PAEの治療後、最初の2〜3日は一時的に頻尿や排尿痛が出ることがありますが、これは前立腺にしっかりと薬が効き、治療がうまくいっている証拠です。その後、数週間から1ヶ月ほどかけて徐々に前立腺が縮小し、画像検査でも前立腺が明確に小さくなったことが確認できました(下記画像参照)。
前立腺が縮小したことで尿道の圧迫が取れ、一番の悩みだった夜間頻尿も大きく改善。長年悩まされていた睡眠障害から解放され、前立腺を削る手術による性機能低下のリスクも避けて、無事に生活の質(QOL)を取り戻すことができました。




