治療実例
INSTANCEサッカーの試合での脳震盪から半年以上続いた深刻な頭痛が、STA動注治療で劇的に改善した中学生の症例
男性 / 10代 / 東京在住 / 学生
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
スポーツ中の激しい接触などで頭を打ち、脳震盪を起こした後、長期間にわたって頭痛や首の痛みが続く「脳震盪後症候群」に悩まされる方は少なくありません。病院の画像検査で「異常なし」と言われ、有効な治療法が見つからずに部活動や日常生活を諦めてしまうケースも多いのが現状です。
今回ご紹介するのは、サッカーの試合中に脳震盪を起こして以来、半年以上にわたって深刻な頭痛に苦しんでいた14歳の男子中学生の症例です。
彼は2025年5月、試合中の競り合いで相手選手と激しく衝突し、頭部を強打して脳震盪とむち打ちを起こしました。その際、一時的な記憶喪失にも見舞われたそうです。それ以来、首と頭、特に右側の頭部に強い痛みが続くようになりました。
症状は日常生活を脅かすほどで、駅の階段を急いで登ったり、ダッシュやジョギングなどの有酸素運動で息が切れたりすると、徐々に右頭部の痛みが増悪しました。さらに心拍数が上がると「目の前が真っ暗になる」という恐ろしい症状も現れていたのです。
一般的な痛み止めは一切効かず、大好きだったサッカーもできなくなり、学校の体育も見学せざるを得ないという、育ち盛りの学生にとって非常につらい日々を過ごしていました。
すぐに脳神経外科を受診しCTなどで精密検査を受けましたが、「骨折もなく、神経や血管にも異常はない」と診断されました。その後も藁にもすがる思いで高圧酸素療法や鍼治療、整骨院などに通い治療を試みましたが、改善の兆しは見られませんでした。
先の見えない不安の中、ご自身やご家族で痛みの原因を調べていたところ、当院のYouTubeチャンネルの動画に行き着きました。「もしかしたら、自分の長引く痛みも血管が原因ではないか」と考え、当院を受診されることになりました。
治療時の所見FINDINGS
初診時に詳しくお話を伺い、超音波(エコー)のカラードップラ検査という血管を観察する検査を行ったところ、痛みを訴える右側の側頭部(頭蓋骨の外側)に、異常に拡張した血管「モヤモヤ血管」がはっきりと確認できました。一方で、痛みのない左側にはこのような血管の異常は見られませんでした。患部自体を押しても痛みはない状態でした。
これは、頭部への強い衝撃(外傷)によって、修復の過程で異常な血管が頭皮や頭蓋骨の表面に増殖してしまったことが原因です。運動などで心拍数が上がり血流が増加すると、このモヤモヤ血管がさらに拡張し、すぐ隣を通る神経を刺激して痛みを引き起こしていたのです(運動誘発性頭痛)。つまり、痛みは脳の中の問題ではなく、頭皮や頭蓋骨の表面にある異常血管が原因でした。
原因が明確になったため、右側の浅側頭動脈(STA)から、この異常な血管を減らすお薬をピンポイントで注入する「STA動注治療」を行いました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療後、彼の生活に少しずつ確かな変化が現れました。
1回目の治療から約1ヶ月後の確認では、日常生活の範囲内で起きていた頭痛が目に見えて減っていました。「痛みの波が少なくなり、強い痛みが減った」と確かな効果を実感されており、まだ多少の痛みは残るものの、全くできなかったジョギングを5〜10分程度試せるまでに回復しました。
そして12月中旬に2回目のSTA動注治療を行いました。この時の診察では、授業中に週1〜2回ほどの痛みはまだあるものの、さらに症状は改善しており、部活動などの運動にも復帰し始めているとの嬉しい報告を受けました。エコーを用いた局所の状態も明らかな改善傾向にあり、彼自身も「前よりだいぶ良くなった」と笑顔を見せてくれました。
脳震盪などの打撲後に長引く頭痛は、「脳の異常」や「後遺症だから仕方ない」として扱われがちです。しかし実際には、頭をぶつけたことで生じた頭皮の「モヤモヤ血管」が原因となっているケースが非常に多いのです。
もし彼のように、画像検査で異常がないのに長引く頭痛でスポーツや日常生活を制限されている方がいれば、「血管に直接アプローチする」という新しい治療の選択肢があることを、ぜひ知っていただきたいと思います。長年の痛みに苦しんでいる方も、決して諦めずに一度ご相談ください。




