治療実例
INSTANCE「低音が出せない」Bスポット療法でも治らない音楽教師の慢性上咽頭炎・声枯れがカテーテル治療で改善
女性 / 60代 / 福岡県在住 / 音楽教師・声楽専門
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
今回は、長引く慢性上咽頭炎による「声枯れ」と「喉の違和感」に悩み、カテーテル治療によって本来の声を取り戻された女性の音楽教師の方です。
患者さんは音楽の教員として生徒に歌唱指導を行う傍ら、ご自身も声楽を専門とされています。異変を感じ始めたのは2022年のことでした。喉の奥が引っ張られるような違和感と声のかすれが続き、耳鼻咽喉科で「慢性上咽頭炎」と診断されました。
そこでは標準的な治療である「Bスポット療法(EAT)」を受けられました。治療初期は出血も多く、血の混じった痰が出るなど辛い状態でしたが、我慢して継続することで出血自体は減少し、現在は月に2~3回の通院でコントロールされていました。しかし、肝心の声の症状が改善しませんでした
「朝起きると声が枯れている」
「低い音を出そうとすると声がひっくり返ってしまう」
声楽のプロとして致命的だったのは、低音域のコントロールができなくなったことです。授業や自身の練習中に思うように声が響かず、表現ができない。
さらに、内科では逆流性食道炎も指摘され、胃酸を抑える薬(タケキャブ)を服用していましたが、薬が切れると喉のイガイガやチクチク感が戻ってしまい、根本的な解決には至りませんでした。いろいろ何か方法はないかとネット検索していたところ当クリニックをみつけ来院されました。
治療時の所見FINDINGS
診察および内視鏡検査の結果、上咽頭の粘膜に慢性的な炎症所見が確認されました。声帯やその周囲の咽頭にも、赤い点状の炎症斑が見られました。
また、血液検査ではビタミンDの不足も認められました。粘膜の健康維持には栄養状態も関わってきます。
これまでのBスポット療法や投薬で「痛み」や「出血」はある程度治まったものの、声の不調や喉のつっぱり感が残っている原因は、炎症によって増殖した異常な血管(モヤモヤ血管)だと考えられました。
炎症が長引くと、患部には微細な異常血管が増え、神経過敏や組織の硬さを引き起こします。これが「喉が引っ張られる感じ」や「声帯がうまくコントロールできない(声が裏返る)」原因となります。
このモヤモヤ血管を減らすため、日帰りでできるカテーテル治療を行いました。足の付け根から極細のカテーテルを挿入し、咽頭動脈から痛みのある患部へ直接薬を投与し治療しました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療の効果は明確に現れました。治療後、「喉の左側がすっきりして、空間が広がったような感じがする」と、長年感じていた喉のつっぱり感やイガイガ感が消失しました。
最も喜ばれていたのは、声の変化です。これまで裏返ってしまっていた低音が、治療した後は自然に出せるようになりました。話し声も出しやすくなり、高音域も以前より安定して響かせることができるようになりました。
風邪を引いた時のような鋭い痛みもなくなり、声のコンディションに対する不安が払拭されたことで、自信を持って指導や歌唱に取り組めるようになったそうです。現在は再発予防のため、不足していたビタミンDのサプリメント補充も行いながら経過を見ています。
慢性上咽頭炎は、単なる粘膜の炎症だけでなく、その奥にある不要にできた血管が症状を長引かせているケースが多々あります。「治療を続けているのにすっきりしない」「声が戻らない」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。



