治療実例
INSTANCE両手のドケルバン腱鞘炎と手関節滑膜炎を併発した難治性の疼痛。動注治療とカテーテル治療で日常生活の質を改善した症例
女性 / 40代 / 埼玉在住 / 主婦
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
手の痛みや腱鞘炎は、「加齢によるものだからしょうがないです」と言われてしまうことが少なくありません。ですが、実際は年齢だけでは説明できない強い痛みが続き、仕事や家事に支障が出てしまう方も多くいらっしゃいます。今回ご紹介する患者さんもその一人です。
患者さんは4年前に親指のつけ根の痛みで整形外科を行くと「加齢によるもの」と診断されなるべく手を使わないようにと言われたそうです。しかし、その後も症状は改善せず、痛みは親指だけでなく手首のほうまで広がり洗濯物を干す、掃除機をかける、買い物袋を持つなど何気ない日常生活内の動きさえ強い痛みが走り、支障が起きていました。
もう一度近くの整形外科を受診すると右手はドケルバン病と診断され、左手は明確な診断がつかず4年前と変わらない説明に心が折れそうになったと言います。それでも現実は何かするたびに激痛に触れ、手をかばいこのままではダメだと思い、何か治療法はないかとネットを検索していたところ当院をみつけ来院されました。
過去に疼痛治療のためのステロイドの注射治療を2回受けていましたが、痛みが完全に改善しないため、根本的な治療を求めて当院に来院されました。
治療時の所見FINDINGS
エコー検査にて、右手首および左手関節部に炎症を確認しました。特に右手は腱鞘炎が強く腫れも目立っていました。左右ともに痛みがあるものの、右側の痛みがより強く手を大きく動かそうとすると激しく痛みが増してしまうため、日常の動作にも大きな負担がかかっていました。
炎症が強いため、まずは両手に動注治療を行いました。また炎症の強さから、追加での動注治療とカテーテル治療をすることでモヤモヤ血管の治療を行いました。加えて、採血の結果から、体の回復に必要な栄養が少し不足していることも分かりました。特に鉄とビタミンDが不足していたため、サプリメントで補うことをご提案しました。また、炎症を抑えて治りやすい体を作るために、タンパク質は食事でしっかりとることをおすすめしました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
初回の動注治療後は、右手の強い痛みや左手の痛みはまだ残っていましたが、痛み全体としてはおよそ3割軽くなりました。ただ、日常生活で手を使う場面ではまだ困難が多く、ピリピリ・ジワジワとした違和感がありました。特に左手の痛みは日によって波がある状態でした。
その後に行ったカテーテル治療では、症状が大きく改善しました。治療前は「靴下も履けない」というほどの強い痛みでしたが、現在は痛みが半分程度にまで減りました。完全に痛みがなくなったわけではないですが「新品の瓶のフタは開けられないけれど、靴下は問題なく履けるようになった」と、ご本人も具体的な改善を実感されています。
今回、カテーテル治療と複数回の動注治療を組み合わせたことで、日常生活に大きな改善が見られました。動注治療やカテーテル治療といった 段階を踏んだアプローチ によって、生活の質を大きく向上させることが可能です。
「加齢のせいだから仕方ない」「このまま治らないかもしれない」そんなふうに悩んでいる方にこそ、今回の症例を通して、適切な診断と治療によって日常が確実に楽になる可能性があることを知っていただければと思います。



