治療実例
INSTANCE体の不調の陰に隠れた「のどの奥の炎症」慢性上咽頭炎のカテーテル治療
女性 / 30代 / 沖縄県在住 / 民謡歌手
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
上咽頭炎は自分では確認できない場所のため負担を繰り返すことで、気づかないうちに体の不調を広げていくこともあります。喉の痛みは身体だけでなく心にも痛みをともなうものです。今回は、そんな喉の痛みや身体の不調に悩む歌手がカテーテル治療で改善した症例をご紹介します。
患者さんは、沖縄で飲食店やホテルのステージに立つ民謡歌手です。約6か月前から喉の痛みと肩こり、喉に痰が絡む症状が続き、耳鼻咽喉科で上咽頭炎と声帯炎を指摘されました。以前からポリープやしこりはないものの、声帯の腫れやむくみなど炎症を繰り返していたそうです。患者さん自身は喉の痛みはあるものの、上咽頭自体の痛みは感じなかったそうです。
なんとなく身体がだるく、首や肩がこわばる日々。喉の奥には常にイガイガした違和感があり、朝起きると痰が絡んですっきりしない。
そんな状態が続くなかで、「疲れが抜けない」「集中力が落ちる」と感じるようになり、
いつのまにか本来のパフォーマンスを発揮できなくなってきたことに焦りを感じたそうです。
病院では慢性的な上咽頭炎を指摘され、Bスポット療法を受けましたが、治療の強い痛みと出血に加え、思うような改善が得られず中断。「このままではずっと不調のままなのでは」という不安を抱えながらも、何か根本的に治療する方法はないか流していたところ当院のモヤモヤ血管の治療を知り、沖縄から東京まで来院されました。
治療時の所見FINDINGS
背景として、患者さんには副鼻腔炎や頭皮の炎症など、他の部位でも炎症を繰り返した経緯がありました。直接の因果関係は断定できないものの、こうした長引く炎症の積み重ねが、全身の不調につながっていた可能性があります。
初診にて内視鏡で見たところ上咽頭の粘膜が赤く腫れている様子を確認しました。声帯にも軽いむくみと赤みが見られました。
歌手という職業柄、喉の粘膜に負担がかかりやすく、一般的な薬の治療やBスポット療法だけでは炎症の繰り返しを防ぐのは難しいと判断し上咽頭炎のカテーテル治療を提案しました。
鼠径部からカテーテルを挿入し、上咽頭動脈まで慎重に進め炎症を抑える薬を流し治療をしました。治療は30分ほどで終了し、鼠蹊部の傷跡に絆創膏を貼って1時間ほどお休みいただいた後、ご帰宅いただきました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
カテーテル治療の直後から喉の痛みが軽くなり、かすれる感じや朝起きたときのイガイガした不快感も和らいだそうです。2週間後には、歌唱後の疲れや喉の重さも減り、「高音が出しやすくなった」と実感されていました。
その後の耳鼻科診療では、Bスポット療法施行時の出血が少なくなっていると指摘され、炎症が改善していることが確認されました。
以後はときどき乾燥を感じる程度で、経過は良好で歌のお仕事も継続されています。
喉の痛みは「そのうち治る」と思って放置すると、炎症を繰り返して悪化することがあります。痛みを感じたら早めに対処することが大切です。ひどくなる前に治療を行うことで、日々の生活や声のコンディションが大きく変わります。気になる症状がある方は、どうぞ早めにご相談ください。