医療法人社団 祐優会

肩に生じる痛みや不快感は、日常生活に大きな影響を与えます。その痛みが原因で睡眠までさえぎられることも珍しくありません。

特に腱板断裂があると言われた場合、手術をしなけらば治らないと思ってしまうかたも多いようです。しかし最近では、手術をせずに30分ほどで終わる日帰りのカテーテル治療が改善される方も多くいらっしゃいます。
今回は、数か月にわたる両肩の痛みに困り、カテーテル治療で改善された７０代の方の症例になります。

8ヶ月前から両肩から上腕にかけてのズキズキとする痛みや、朝起きた時にこわばりを感じるようになりました。日が経つごとに夜間にも痛みを感じるようになり、寝返りが打てないほどの辛い状態になってしまいゆっくり寝ることもできなくなりました。
地元の整形外科を受診してヒアルロン酸の注射や痛み止めの注射を受けたものの、改善しないどころか悪化する一方で、困っていた際に、友人からモヤモヤ血管の治療について聞き、当院を受診されました。

来院時に診察すると、強い痛みのため著明な可動域制限（動かせる範囲の狭さ）があり、両肩は前方から70度しか挙上できませんでした（正常は180度）。エコーで両肩を確認すると、肩の周囲に炎症による水のたまりがあることと、腱板断裂の所見を認めました。

腱板断裂は手術という選択肢もありますが、術後のリハビリも大変で両腕が使えなくなるのは辛いことから、カテーテル治療を提案しました。

炎症血管を消滅させるためのカテーテル治療で効果が期待できることをご説明して、治療をうけていただくこととなりました。
治療の際には両手首の橈骨動脈から細いカテーテルを挿入し、造影剤を用いて両肩の異常な血管を確認し、異常な血管を消滅させるための薬剤を流して終えています。治療時間は両肩合わせて90分ほどでした。

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カテーテルから2週間後の外来受診時には、夜間痛は大幅に改善していました。両肩挙上時の疼痛は著明に改善しバンザイできるまで可動域制限も改善したため大変喜ばれていました。
肩の動作時に疼痛は軽度残存あるものの、遠方であることと日常生活で困らない程度となったため、疼痛が増悪した際に再度外来を受診する方針となりました。