治療実例
INSTANCE仰向けに寝ると痛くて眠れない難治性仙腸関節炎の治療実例
女性 / 70代 / 兵庫県在住 /
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
約2年前から、右側のお尻や足の付け根辺りに痛みを感じるようになりました。重い灯油缶を運んだあとから痛くなったそうです。
その後、時間とともに痛みが強まり、仰向けに寝るだけでズキンと痛みがでるようになり、寝返りもするのも大変な状態になったそうです。この痛みで夜中に何度も目が覚めるようになり、ぐっすりと眠ることができなくなっていました。また太ももやふくらはぎにも痛みを感じていたそうです。
階段の昇り降りや長時間椅子に座ることがつらく日常生活の些細な動作にも支障が出るようになりました。複数の整形外科を受診し、仙腸関節炎を疑われるものの、リハビリや注射、神経痛の内服薬では改善せず、途方に暮れていたところに、友人から当院のことを聞き受診されました。
治療時の所見FINDINGS
当院に来ていただいた際、診察の結果、右側の仙腸関節の近く、特にPSIS(上後腸骨棘:posterior superior iliac spine)という部分を触ると痛みを感じるという症状が見られました。また、その場所から鼠径部、太もも外側やふくらはぎにかけても痛みが広がっていることも確認されました。
MRIの画像診断では、右側の仙腸関節に明らかな炎症が見られました。特に左側の仙腸関節と比べると、血流が増加し(造影剤の効果によるものです)、炎症による血管の数も増えていることが目で確認できるほどでした。この情報をもとに治療法として、カテーテル治療をすすめました。
カテーテル治療は、炎症を抑えるために薬を直接患部に送る方法です。これにより痛みや炎症を軽減させることが期待されます。カテーテル治療により、仙腸関節部を栄養する血管に薬を投与しました。この治療を行った直後から患者さんの痛みは明らかに軽減されました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療後1か月が経過した外来時には、以前よりも痛みが軽減されたそうです。横になっている時の痛みが半分以下になっていました。以前は触るだけでも痛みを引き起こしていた圧痛も完全になくなりました。
以前は一生この痛みを抱えて生活しなければならないと諦めかけていた状況から、痛みがなくなることで生活の質が飛躍的に向上しました。患者さんは日常生活の些細な動きから生じる痛みから解放されたことに大変喜ばれていました。痛みがなくなる毎日がこんなに気持ちが軽く気分が晴れ晴れすることに感謝されています。