学術・論文

THESIS
2013年5月2日発表

運動器カテーテル治療の世界で最初の報告

この論文は2013年に私、奥野祐次が書いた、運動器カテーテル治療についての世界で最初の報告です。

JVIRというアメリカのカテーテル治療の専門医学誌(放射線科系のカテーテル治療誌としては最も有名)に掲載されました。

 

「痛みや炎症で増えた異常な血管に対して、カテーテルを用いて減らすことで病変を改善させる」という発想が今までになかったため、掲載された際には、「Thinking Outside the Box(従来の考え方の枠組みを超えた発想)」という論文評が付く形で掲載されました。

 

 

もともと、運動器カテーテル治療のもとになるアイデアは2007年ころに発想を得ていましたが、患者さんに施行するための準備の研究(基礎研究)を行なったうえで、2012年から「臨床研究」という形で実際に患者さんに応用するようになりました。

 

「臨床研究」とは、実際に患者さんに治療を提供し、その後の経過観察をして、安全性と有効性を調べるものになります。

 

この論文はその臨床研究の結果を報告したものです。

 

そのような新しい治療の場合、まずは少ない患者さん(この報告では最初の7名)にこの治療を受けていただき、その効果を調べるとともに、副作用が起きていないかを調べることになります。

 

結果として7名全員が安全に副作用なく治療を受けてもらうことができ、かつ今まででは治すことができなかった腱炎の痛みを改善させることができました。

この写真は、第一例のかかとの痛み(足底腱膜炎)の患者さんの血管撮影の画像です。踵の痛い場所にモヤモヤ血管ができているのがわかります。

 

この方は2012年に治療し、その後の経過を追う中でも痛みの改善が非常に良好で、つい先日(2019年)にも「調子が良いですよ!」「ほかの場所が痛くなってみてほしい」といって来てくださいました。

 

他の6名の方も非常に喜んでもらい、この研究に参加したことにも満足してもらっています。

 

小さな規模の報告になりますが、これまでには存在しなかった治療の安全性と有効性を示したという点で大きな意味合いを持つ研究となりました。

 

この論文は私にとっても思い入れの深いものとして残っています。

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