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レントゲンは異常なしなのに膝が痛い…人工膝関節術後、痛みが1年以上続く4つの原因
こんにちは。痛みの専門医、オクノクリニックの奥野祐次です。
先日、患者さんからこんなご質問をいただきました。
「人工膝関節の手術を受けてもう1年が経つのに、いまだに痛みが続いています。レントゲンでは人工関節はきれいに入っていて問題ないと言われました。それなのに、なぜ痛みが引かないのでしょうか?」
結論から言うと、人工膝関節の手術後に痛みが残ること自体は、決して珍しいことではありません。そして、レントゲン上は「きれいに入っている」のに痛みが続く場合、その原因は主に4つ考えられます。
人工関節の術後に痛みが残る「モヤモヤ血管」、インプラントと骨のわずかなゆるみ、手術で生じる神経の損傷、そして過剰な炎症反応「CRPS」です。
今回は、この4つの原因について、痛みの専門医の立場から詳しく解説します。
人工膝関節の術後に痛みが残るのは、実は珍しくない
「人工関節がうまく入っているのに痛い」と聞くと、不思議に思われるかもしれません。ですが、これは決して珍しいことではないのです。
イギリスで発表された論文では、人工膝関節を入れた600人以上を対象にアンケート調査を行ったところ、約4割の人が「何らかの痛みがある」と回答しました。さらに、そのうち15%程度の人は、日常生活に支障が出るほどの強い痛みを抱えていると答えています。
手術前の説明では「痛みが残ることがあります」と一文で触れられる程度で、これほど多くの方に痛みが残ること、しかも一部の方には強い痛みが残ることまでは、十分に伝わっていないことが多いように思います。
なお、これは股関節や肩の人工関節にはあまり当てはまりません。股関節や肩の人工関節で強い痛みが残る割合は6%程度とされており、膝は他の関節に比べて痛みが残りやすい部位だということも知っておいていただきたいポイントです。
レントゲンが正常なのに痛む、4つの原因
人工関節そのものに問題がなくても痛みが残る場合、以下の4つが主な原因として考えられます。
1. 滑膜に生じる「モヤモヤ血管」
人工膝関節の手術では、関節の表面を人工物に置き換えますが、関節を包む「滑膜」という組織はそのまま残ります。この滑膜に強い炎症が続くと、異常な血管である「モヤモヤ血管」ができてしまうことがあります。
モヤモヤ血管の周りには血管と一緒に神経も増えてしまうため、非常に強い痛みの原因となります。しかも、モヤモヤ血管は骨ではないため、レントゲンには一切映りません。そのため、「レントゲン上は問題ない」のに痛みが続くという状態が起こるのです。
手術した膝であってもそうでない膝であっても、モヤモヤ血管は長引く痛みの原因として非常に重要ですが、整形外科の現場では見落とされがちなポイントでもあります。
2. インプラントと骨のわずかなゆるみ・ずれ
人工膝関節は、もともとの骨にインプラントを設置して固定します。この時、インプラントと骨がしっかり接着・固定されないと、歩くたびにレントゲンには映らないほどわずかなゆるみやずれが生じることがあります。
このような微細な不安定性は、通常のレントゲン検査では確認できず、詳細なCT検査でようやく見つかることもあります。歩行のたびに生じるわずかなずれが、痛みの原因となっているケースも少なくありません。
3. 手術で生じる神経の損傷
人工膝関節の手術では、膝の前面に10〜15cmほど切開を入れます。この際、膝の前を横切っている「伏在神経」という神経を避けて通ることができず、やむを得ず切断することがあります。
多くの場合、この神経を切っても大きな問題にはなりませんが、神経がうまく回復せず過敏な状態になってしまうと、お皿の下や外側あたりにビリビリとした痛みが残ることがあります。
4. 過剰な炎症反応「CRPS」
手術後は誰でも患部が腫れますが、通常は1〜2週間ほどで落ち着いていきます。ところが、体がまれに過剰な反応を起こし、熱を持った腫れが1年も2年も続いてしまうことがあります。これは手術の失敗や技術不足によるものではなく、一定の確率で起こる「CRPS(複合性局所疼痛症候群)」と呼ばれる反応です。
CRPSが起こりやすい部位のトップ2は、手首と膝だと言われています。つまり、どれほど手術の技術が高くても、膝の人工関節手術では一定の確率でこの過剰反応が起こり得るのです。
痛みを防ぐ・改善するためにできること
これから人工膝関節の手術を受ける方は、手術前にできるだけ炎症や痛みを抑えておくことが大切です。私たちが行っているカテーテルによる治療で炎症を軽減してから手術に臨むことで、術後の過剰な炎症反応が起きにくくなります。
また、すでに手術を受けたものの痛みが続いているという方も、諦める必要はありません。今回ご紹介した4つの原因のうち、滑膜のモヤモヤ血管やCRPSについては、血管を対象としたカテーテル治療によって改善できる可能性があります。すべての方に効果があるとは限りませんが、レントゲンで異常がないのに痛みが続いている場合は、一度、痛みの専門医にご相談いただくことをおすすめします。
長引く膝の痛みでお悩みなら痛みの専門医へ
「人工関節はきれいに入っていると言われたのに、なぜか痛みが続いている」
そんな風にお悩みの方は、レントゲンには映らない滑膜のモヤモヤ血管や、インプラントの微細なゆるみ、神経の損傷、CRPSといった要因が関係しているかもしれません。
長引く膝の痛みにお悩みの方は、諦めずに、ぜひ痛みの専門である私たちへご相談ください。
カテーテル治療・動注治療の実績数詳細はこちらをご参照ください。
https://okuno-y-clinic.com/treatment-performance