奥野祐次先生のコラム

COLUMN
COLUMN.13

「不要な血管」は放っておくと良くない?

これまで私はくり返し、

「不要な血管は痛みの原因となる」と書いてきました。

 

でもそれだけにとどまりません。

不要な血管は、組織の強靭さを「弱めて」しまいます。

どういうことでしょうか?

上の写真を見てください。

これは正常なアキレス腱の断面図です。

 

正常なアキレス腱は、断面図を見るとわかるかもしれませんが、血管が非常に少ないです。

 

これは“たまたま少ない”のではありません。

なぜアキレス腱の中に血管が少ないかというと、アキレス腱の組織が能動的に血管を寄せ付けない物質を放出しているからです。

これらの「血管を寄せ付けないようにする物質」には調べられているだけでも次のようなものがあります。

Tenascin-C
Biglycan
Tenomodulin
Decorin
Endostatin

これらひとつひとつの名前は重要ではありませんが、重要なことは

アキレス腱や、そのほかの腱も
「血管が少ないのが正常な状態」ということです。

このような組織を「乏血管組織」と呼んでいます。

乏血管組織には「腱」のほかに、靭帯、軟骨、付着部、角膜、心臓弁などが挙げられます。

 

なぜ、血管が少ないことが望ましいのでしょうか?

実は、血管というのは、たくさんあればいいというものではありません。

血管は新しくできるときに、周りの組織を破壊しながら伸びていきます。

 

血管が増えるときには、ちょうど新しく道路ができるときと同じように

もともとあった構造物を破壊してから、血管がそこに伸びてきます。

(このときにもともとあった組織を破壊するために使われる物質をマトリックスメタロプロテアーゼといいます)

下の写真はアキレス腱炎の患者さんで、アキレス腱の中に血管が増えている様子です。(赤や青の色がついているところが血管)

このように血管が増えてしまうと、アキレス腱そのものも弱くなってしまうのです。

 

続く

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