治療実例
INSTANCE「毎月声が出なくなる」コールセンター勤務を悩ませる1年続く声帯炎・声枯れがカテーテル治療で改善した症例
女性 / 30代 / 東京在住 / コールセンター
受診までの経過SIGN AND SYMPTOM
今回ご紹介するのは、1年前の風邪をきっかけに毎月起こる声枯れに悩まされ、仕事や日常に大きな支障をきたしていた30代女性の症例です。
声帯炎(慢性喉頭炎)という病気は、消炎剤の内服やステロイドの吸入、声の安静といった標準的な対処法(保存的治療)が存在する一方で、耳鼻咽喉科で「声帯ポリープなどの手術すべきコブがない」と診察されると、飲み薬で一時的に様子を見るほかなく、根本的な解決策が見出せないまま再発を繰り返してしまう「治療法があるようでない」状態に陥りやすい疾患でもあります。
こちらの患者さんは、コールセンターでお電話の対応をされるお仕事をされており、声が出なくなると業務上困ることが多かったそうです。
1年前に引いた風邪をきっかけに喉の違和感と声のかすれが始まり、それ以来、特別な風邪症状もないまま毎月のように突如声が枯れて出なくなる症状を繰り返すようになりました。
耳鼻咽喉科(3件)を受診して処方された飲み薬(ステロイドや消炎薬等)を服用すると一時的に症状は和らぐものの、1ヶ月と持たずに再び声が枯れてしまう状態が続きました。日常的にもポカリスエットやのど飴、市販薬などを活用してなんとかしのいでいらっしゃいましたが、根本的な改善には至らず、またひどくなっては繰り返すという悪循環が1年間続きました。
仕事の合間を縫って通院を続ける負担に加え、「毎朝起きるたびに今日は声が枯れていないか」という強い恐怖と精神的ストレスを抱えていらっしゃいました。一般的な耳鼻科で提案される治療では根本解決が難しかったので長引く声帯炎に対し、新しい治療の選択肢を求めて当院に相談されました。
治療時の所見FINDINGS
診察および血管造影(血管の状態をモニターに映し出す検査)を行ったところ、声帯周辺を養う動脈に、黒くモヤモヤと広がる異常な血管(モヤモヤ血管)が多数確認されました。専門医が見れば一目で「声帯にかなり強い炎症が起きている」と判断できる状態でした。このモヤモヤ血管は、長引く炎症によってできた不要な血管です。
正常な血管と違って構造が非常に脆いため、水漏れするホースのように水分や炎症のもと(炎症細胞)を周囲に漏らし続けてしまいます。
本来、人間の体には漏れ出た水分を回収して綺麗にする仕組み(静脈やリンパ管による排水・ドレナージ機能)が備わっています。しかし、モヤモヤ血管からの水漏れがあまりにも激しいため回収処理が追いつかず、声帯の組織に水たまりができるように「慢性的な腫れ(むくみ)」が引き起こされていました。
これが、声を出す際に「押し止められるような邪魔な感じ」や、毎月繰り返す声枯れの直接的な原因でした。
そこで、原因となっているモヤモヤ血管を減らすため、日帰りのカテーテル治療を行いました。局所麻酔のもと、足の付け根から極細カテーテル(直径約0.6mm)を挿入し、声帯に栄養を送る動脈へ進めました。そして、患部に直接モヤモヤ血管を減らす薬を流し込み治療を終えました。
治療後の経過FOLLOWING THERAPY
治療直後から変化が現れました。異常血管からの水分の漏れがストップしたことで、本来のドレナージ機構が働いて腫れが急速に引き、治療当日の昼(施術後1〜2時間)にはすでに声の出しやすさを明確に実感できるようになりました。
治療の翌日には本来の声を取り戻し、問題なくコールセンターでの電話業務に復帰することができました。
治療から3週間〜1ヶ月が経過した時点でも、以前のように毎月起きていた声枯れの現象は完全に解消されています。業務上で長時間話した日や気温が下がった日でも声が枯れることはなく、喉にわずかな違和感を覚えても声枯れまで悪化せずに治まるようになりました。
「朝起きた時に声が出ないのではないか」という毎日の不安から解放され、第一声からハキハキと発声できるようになったことで仕事へのモチベーションも大きく向上し、職場でも「笑顔が増えた」と言われるほど明るい生活を取り戻されています。
高い声が出しにくい、講演中に咳き込むなど長引く声の悩みをお持ちの方はぜひご相談ください。



