慢性痛治療の専門医による痛みと身体のQ&A

五十肩(肩関節周囲炎)

Q:五十肩の痛みで困っています。

特に大きな怪我をしたわけでもないのに肩がとても痛くなり、次第に動かなくなる病気が五十肩です。50歳前後でかかる人が増えるため五十肩と呼ばれます。実際には40歳以降からかかるようになり、45歳以降になるとぐっと増えます。専門的には「肩関節周囲炎」と呼びます。40代の人がかかった場合は五十肩とは呼ばずに四十肩と呼ぶこともありますが、同じ病気です。

五十肩になった場合は適切な治療を受けないと痛みが長引く可能性があります。専門医の診察を受けることをお勧めします。

Q:五十肩になり2か月がたちました。いつ治るのでしょうか?自然に治りますか?

五十肩は、ある程度の期間は痛みが続きますが、最終的には(治療をしてもしなくても)痛みがなくなるという特徴があります。ですが、痛みの期間や強さには個人差があり、一言で「五十肩」と言っても軽症から重症まで幅があることが知られています。

重症であるほど痛が長く続きます。軽い場合は数週間から数か月で痛みは治りますが、重症の場合は(適切な治療を受けなければ)最低でも1年半は痛みが続きます。海外の研究では、重症の五十肩の場合、(湿布や痛み止め、リハビリなどの治療をしていても)3年経過しても4割近くの患者さんに痛みが残っていることが報告されています。

腕が上がらない、肩が動かせないといった動きの制限の度合いが強い人ほど重症ということが言えます。

ご自分が重症なのかもと思った方や、いつまでも治らない、という方はぜひ専門医の診察をお受けください。

Q:五十肩の原因は何ですか?なぜなってしまうのでしょうか?

最近の研究で、五十肩の患者さんの関節には「余計な血管」が増えていることがわかってきました。正常よりも多くの血管ができており、しかもその血管の周りには神経線維も一緒になって増えていることが報告されています(人間の体は血管と神経が一緒に増える性質があるため)。この血管と一緒に増えている神経から痛みが生じているものとする説が最も支持されています。

またこの余計な血管は血液の中の成分が周りにしみだすことが知られています。特にフィブリンという線維成分がしみだす傾向があり、このことで関節の袋に繊維成分が必要以上に溜まってしまい、普通なら薄くて柔らかいはずの関節の袋が、分厚く固くなってしまう。このために五十肩では肩が痛くなるのとともに固くなって動きにくくなるのです。

Q:夜寝ていて肩が痛いのですが、五十肩でしょうか?

夜寝ていて肩が痛いという状態を「夜間痛」と呼びますが、五十肩の典型的な症状のひとつです。寝返りを打つと痛い、痛いほうの肩を下にして眠れない、眠ってから1,2時間ほどすると痛みで起きてしまう、朝起きると肩が痛いなどの症状を持つ方が多いです。

夜間痛が強い場合は重症な五十肩になっていることが考えられますので、専門的な治療を受けたほうが望ましいです。

Q:五十肩は動かしたほうがいいのでしょうか?

五十肩になると、肩が動かなくなってしまうのでは?と心配して、痛いのに無理をして動かそうといてしまう人がいますが、痛みの強い時期(寝ていて痛い、じっとしても痛いなどの症状があり痛みが増している時期。炎症期とも言います)は無理をして動かさないほうが良いです。炎症期に無理に動かすと炎症が余計に増して痛みが治りにくくなります。

治療や自然経過で炎症期が過ぎれば痛みは徐々に落ち着いてきます。そのタイミングで動かしていくのが最も早く治るコツです。専門医に適切なアドバイスをもらうことが重要です。

Q:マッサージは受けたほうがいいですか?温めたほうがいいですか?冷やしたほうがいいですか?

肩の痛みが増している時期(炎症期)にマッサージを受けるのは注意が必要です。特にグイグイ、ボキボキなどと肩や腕を動かすようなことをすること、あるいはされることは避けてください。

五十肩で特に痛みが強い時期は炎症が起きており、外部から動かすことで刺激となりさらに炎症が悪化します。おそらく痛みが強くなってしまうはずなので、そのような診療(おそらく接骨院など医師でない人の判断かもしれません)を受けずに、専門医の診察を受けることをお勧めします。

また極端に温めすぎても痛みが増す可能性があり、極端に冷やしてもやはり痛みを増すことがあります。温めたり冷やしたりすることで治療効果が期待できる病気ではないです。

Q:五十肩になって痛みはおちつきましたが腕が上がりません。このまま上がらないままでしょうか?

五十肩で腕が上がらなくなる理由は2つあります。
一つは痛いために挙げられない。もう一つは関節の袋(ふつうは柔らかくて伸びがある)が固くなってしまう(繊維化する)ために挙げられなくなるためです。

これらの状態はきちんとケアをすればどちらも最終的には改善します。つまり適切に処置すれば「上がらないまま」にはなりません。

痛みが強い時期に重要なことは、まず何よりも早く痛みを治すこと、そして痛みが和らいだなら、負担のない範囲で自分で肩を動かせるようにエクササイズする(セルフエクササイズ)が重要です。簡単なものを以下に紹介しておきます。参考にして下さい。

1.前方に伸ばすエクササイズ
痛いほうの手を机の上に置き、そのまま手を机の奥にすべらせていきます。すると脇がどんどん開いていく形になり、手を持ち上げているわけではないですが、肩が手を挙げたかのような状態になるのがわかります。痛みが出ない範囲まで伸ばしていき、5秒ほど止めて、元に戻します。これを5回繰り返してください。

2.後ろに回すエクササイズ
エプロンのひもを後ろで結ぶ動作のように、痛いほうの手を後ろに持っていきます。痛くない反対の手で痛いほうの手をつかまえて、さらに体の後ろに軽く引っ張って伸ばします。これも痛みが出る手前くらいのところで5秒ほど止める、というのを1日5回してみてください。

Q:五十肩への治療は、どんなものがありますか?

五十肩の痛みの強い時期(炎症期)は痛みを早く取り除くことが重要なので、それを目的とした治療になります。痛み止め(飲み薬)や湿布などの治療は、重症の五十肩にはほとんど効果は期待できません。五十肩は強い炎症が起きている状態なので、炎症を抑える薬を肩に注射することがあり、こちらは一定の効果が期待できます。1回の注射で中等度の痛みであればかなり緩和されます。

重症で注射でも改善が十分ではない場合は、カテーテル治療などの特殊な治療法もあります。詳細はこちらの記事「運動器カテーテル治療とは?」も参考にしてください。

手術や受動術という治療法もありますが、この2つはどちらも関節の袋を破ってしまうというもので、確かに受ける前よりは動くようになるのですが、あとあとになって痛みが残ってしまったり、違和感が残ることがあるためあまりお勧めしません。

五十肩のカテーテル治療について私(医師:奥野祐次)が書いた論文概要はこちら(3年経過報告)

五十肩のカテーテル治療について私(医師:奥野祐次)が書いた論文概要はこちら(最初の報告)

Q:五十肩は再発しますか?反対の肩もかかりますか?

五十肩は一度治ると、同じ肩に再発することは稀です。ただし反対の肩も五十肩にかかることがあります。特に先になった肩をかばうために反対の肩を酷使した結果、反対の肩に負担がかかりそちらも五十肩になるというケースは存在します。

また、糖尿病のある方は五十肩になりやすく、また一度五十肩になると治りにくいことが知られています。糖尿病の方は専門の治療を受けることをお勧めします。

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痛みをもたらす病気・けが

著者 奥野祐次(医師)

医師 奥野祐次

オクノクリニック 院長